第25話 かわいい
<かわいい館山さんと飲みに行くのが楽しみです>
飲みに行こうと誘われた日の前日、上椙さんからきたメッセージに、スマホを見つめて困惑してしまった。
かわいい?
かわいいわたし?
かわいい服装のわたし?
聞き返すこともできず、後者の意味とみなして、白の袖コンニットに花柄のフレアスカートを合わせて、長い髪の毛を低めのポニーにしてみた。
誰かと出かける時にはしないような格好。
これを「かわいい」と思うかどうかは個人の好みの問題だけど、こんなふうに服を考えたり、髪型を気にしたりするのはいつ以来なのかも思い出せない。
家を出る時、玄関の鏡に写った自分が楽しんでいるように見えた。
もっと無難な白のブラウスに無地のスカートにするべきなんじゃないの?
髪型だって、いつもみたいにそのままで。
そんな心の声に、蓋をした。
その日は朝から、緊張してしまって、上椙さん見ることができなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます