第23話 友達

お昼は、マキちゃんからめずらしく外へランチのお誘い。

会社から少し離れたところにあるパスタのお店まで行ったから、少し並んだだけで入ることができた。


「マキちゃん、いつもお弁当なのに。今日は外に食べに行こうってめずらしい」

「だって、食堂にいたらあいつ来るじゃん」

「あいつ?」

「上椙くん」

「ケンカしたの?」

「ちがーう。話を聞かれたくないだけ」


マキちゃんは何か言う前にセットのサラダを口にした。


「上椙くんと何かあったでしょ?」

「わたし?」

「何かはわからないけど、何かが違う」


マキちゃんはじっとわたしの顔を見つめてきた。


「どうして?」

「空気が違う。誘われた? 『彼女』のこと気にしてるんだったら、あの人本当はいないよ」

「知ってたの?」

「直接聞いたわけじゃない。裕仁くんが『彼女作ればいいのに』って言ってるの聞いてわかったの。裕仁くんに隠しごとなんてしないはずだから。ってさー、『知ってたの?』って言うってことは、本人から聞いたんだ」

「……うん」

「佑香は合コンもいかないし、紹介するって言ってものってこないし、心配してたんだよね。上椙くん、いい人だと思うよ。裕仁くんの友達だもん」

「さりげに惚気られてるんですけど?」

「何か話したいことあるのに、遠慮して言えないんじゃないかと思って心配してたんだからね! 上椙くんは、裕仁くんの友達ではあるけど、わたしは佑香の友達なんだから! でも上手くいってるんだったら良かった」

「うまくって……そんなんじゃない」

「大丈夫! うまくいくって! ほら、食べて! ちょっと遠い店に来たせいで、いつもより時間ないんだから」

「うん」





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