第141話 ギルドからの呼び出し

 

 え???

 これってひょっとして俺のアイテムボックスとつながったの。

 これは研究する価値はある。

「では、その石をもう一度戻してみてごらん」

「できるかしら」

 彼女はそういいながらも石を自分の中にしまっていく。

 すると俺の中のアイテムボックスに石が一つ加わっている。

 当然『共有ボックス』の変化だけで、他には影響出ていない。

 これ、使える。

 問題は距離だな。

 空間移動などの魔法同様に距離に関係なければ王都の店ともののやり取りが簡単にできるかもしれない。


 とりあえず、モリブデンから出て海辺から試してみた。

 俺の共有ボックスに手紙を入れて、返事を待つ。


 すぐに返事が俺の『共有ボックス』の中に現れたので、それを取り出して返事を読んでみると明らかにこことモリブデンとの間に物のやり取りができている。

 次に手紙で酒を送るから受け取ってほしいと書いたらすぐに『了解』の返事が来たので、仕入れた酒を『共有ボックス』移すと、酒はすぐに消えた。

 その後すぐに手紙が入る。

 受け取った酒の数が記されている。


 うん、大丈夫だ。

 これは使えるが、そうなるとガーネット一人だと使いにくい。


 確かに便利な機能なので、他の魔法使いとダーナには覚えてもらおうと、モリブデンに戻った時に訓練を始めた。


 結論から言うと、面白いことが分かった。

 どうも『共有ボックス』は俺のスキルらしく、俺が許可を出した人ならば覚えられるらしく、初めはダーナだけは許可を出さなかったら、覚えていないが残りの二人は割と簡単に『共有ボックス』のスキルを手に入れている。

 ダーナに許可を与えるとすぐに覚えたというか、初めから使えたような気がする。

 『共有ボックス』は俺のスキルのようだが、取り出す側にもスキルがいるようで、それを覚えればと言っても俺が許可を出さないと取り出せないようだが、許可さえ出せばアイテムボックス持ちならば簡単に覚えるようだ。

 元々、アイテムボックスのスキルに付いている機能のような気がしてならない。


 王都に仕入れに向かった時に試しにモリブデンにいるガーネットとの間でものの出し入れをしてみると、見事に使えた。

 これって、仕入れにものすごく便利かも。

 そう思い、王都にいる者たちにも魔法を覚えてもらおうと試してみると、初めから生活魔法のプチファイヤーなどが使えた元貴族のメイドの一人がすぐに覚えてくれた。

 名前をアイと言い、今王都ではメイドたちを束ねているタリアの補佐的な役割をしており、もともと騎士階級の貴族の出だとかで魔法も幼少時より教えられていたそうだ。

 もっとも本人曰く、才能が無いので生活魔法を覚えたところで寄り親の男爵家に奉公に出されたとか。

 実家はその後のごたごたで没落しており、その後どうなったかは知らないという。

 ついでに言うがアイはあまり親兄弟について思い入れはないようだ。

 なんでも貴族というのはたとえ親兄弟でも自分以外は皆敵な感じで、仲は良くないらしい。

 本当かとも思わないでもないが、ろくでもない寄り親が率いる貴族の家庭内は恵まれてもいないらしい。


 その後もあのツボ押しをしながら王都組も魔法の練習をさせたら、幾人かは魔法を覚えることに成功した。


 王都とモリブデンとはメンバーをローテーションしているから、次の交代までにモリブデン側のメンバーを鍛えておき、ローテーション後にこっちのメンバーも鍛えることにして俺はモリブデンに戻っていった。


 王都に顔を出さないわけにはいかないので、仕入れを全て王都の店に任せることはできないが、緊急時にはどうにかなりそうだ。

 あ、俺が別の場所に長らく出かけても問題ないか。

 前にキョウカたちを仕入れに行った時のように長らくモリブデンを空けても仕入れに穴をあけることは無くなる。

 これは、今まで行ったことのない国へ冒険にも行けるということだ。


 そう考えると移動魔法についても研究したい。

 魔法で移動ができれば、それこそどこにでも出かけられる。


 しかし、どこから手を付けていいかは全くの不明。

 元々からして、共有ボックス(仮)は俺が勝手に命名したスキルだが、それすら勝手にというか、偶然に分かったという訳で、それならばまた偶然に期待するしかないかも。


 まあ、冗談はともかくとして、できるところから始めていく。

 今のところ共有ボックスが使えるのは最初に発見したガーネットに続きダーナと後は王都にいるアイだけだ。

 三人だけだと、いや三人もいれば十分だと言えなくもないがそれでもできるだけ多くの人が使える人が多ければ多いほどいいので、他の魔法も含めて王都にいる全員の魔法の強化に努めた。


 今わかっている魔法の練習と、パワーレベリングの二本立てだ。

 すぐには成果は出ていないが、それでも続けていけばそのうち成果も出よう。


 俺は、王都との移動をしながらレベルのアップと魔法の練習、それに移動魔法について色々と試している。

 前に日本にいた時に何かの本で見たことがある。

 『魔法はイメージが大切だ』だったような。

 それを信じて色々とイメージを膨らませている。

 それならば国民的なゲームにあった魔法でルーラからいろいろ試してみるが今のところ成果は出ていない。

 そのあたり俺の先生は薄情だ。

 まったくと言ってかかわってこない。

 要らない所では頼んでもいないのにしゃしゃり出て要らないことを言ってくるのだが、肝心な時には何も教えてくれない。

 あ、確かのに助けられたことは度々あったが、なんというか、もう少しこちらの思い通りにならないかというようなもどかしさを感じている。


 まあ、もう今ではできるだけ頼らないようにはしているが、それでも鑑定は何度も使っているが、俺も焦らずに試している。


 ある日、商業ギルドから受付嬢が俺を訪ねてきた。

 初めて見る顔だが、商業ギルドのあの独特な受付嬢の制服を着ているから間違いはないだろう。


「レイ様。

 あの、不躾で申し訳ありませんがすぐにギルドに来てもらえませんでしょうか。

 ギルド長がお呼びです」

 いきなり商業ギルドのギルド長から呼び出しがあった。


 正直、呼び出される覚えは無い……本当にないか??

 あ、病院については無登録だったか。

 あれってまずかったかな。

 そもそもだが教会勢力ともろに商売が重なるし、とにかくやばそうだったので、俺は訪ねてきた受付嬢と連れ立って、商業ギルドに向かった。

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