第123話 病院経営の方向性
店に帰り、畳マットを作っていた子供たちの所に向かい、話をしてみると、綿は割と交易品として扱われるとのことで、王都のギルドだけでなくモリブデンのギルドでも買えるという話だった。
子供でも知っているようなことだったが、本当に俺にこの世界の常識ってはっきり言ってやばいかも。
落ち込んでいてもしょうがないので、俺は布団を作ることにしてみた。
手先の器用な子供に、適当な生地を使って袋状にしてもらい、綿を入れて袋を閉じる。
ただそれだけだと、綿が偏るなどして、布団としてはまずそうだったので、中の綿が動かないように、袋の上から適当な間隔で縫ってもらい布団を完成させた。
とりあえず、病人の三人分のかけ布団は出来た。
買ってきた綿だと、布団三つではまだ余るようだが、女性たち全員分はさすがに無いようで、とにかく、ある分だけでも布団を作らせた。
とにかく、一度商業ギルドに行って綿について話を聞くことにした。
綿は珍しいものではないという話だが、今まで俺は綿を見てこなかったのが解せない。
さすがにその日は色々とあったこともあり、夜を迎えた。
俺たちは全員で、食事をとったが。病人の三人にはまだあのすりおろしリンゴケシの実入りを食べてもらった。
俺も一食で治るとは思っていなかったのだが、それでも三人は連れて来た時よりは血色がよく見える。
これなら回復は早いのではと期待すらしてしまう。
まあそのあたりは俺の鑑定先生に頼るしかないが、本当に先生のお力は偉大だ。
その夜には久しぶりに多くの女性に参加してもらい夜の運動会を楽しんだ。
複数プレイも今では完全に定番となり、一対一の方がレアになってはいるが、流石に王都とモリブデンに拠点ができたこともあり、それが一堂に会する機会は今回が初めてだった。
どこで、どうなったのかは知らないけど、今回の運動会にはあの王都で仕入れた元騎士たち三人までもが全裸で参加していた。
当然美味しく頂きました。
先生の言では、彼女たち三人は初めてのはずだったのだが、出血は無かった。
激しい運動をしている人にはあるとかいう話を聞いていたけど、本当のことだと初めて実感できた夜だった。
数日は、祭りを店にいる女性たちとかわりばんこ楽しみながらも、ふとんの他畳マットの製作に協力して、マットについては満足するものが全員分はできた。
すでに店にはベッドに畳を敷いていたが、畳に変えて、畳マットにしていった。
同じじゃないかと言われそうだが、弾力が違う。
それでも前の世界で使っていた安ベッドのマットほどもないのだが、この世界では画期的なことだとか。
これを俺たちの標準にしていくべく、改良についても子供たちに頼んでおいた。
これを担当しているのがドワーフの子供たちだ、きっと素晴らしいものを作ってくれることだろう。
四日も経ったころに俺はフィットチーネさんから呼び出しを受けた。
店に来てほしいとのことだったので、とりあえず俺だけがフィットチーネさんの店に向かった。
この町の中で、しかもすぐそばということもあり、いつも護衛をしてくれているダーナたちには休みを与えて、祭りを楽しむように言ってから店を出た。
フィットチーネさんの店には、前にフィットチーネさんが船の奴隷ごと全部購入した時の奴隷商と、俺に三人の奴隷を売ってくれた奴隷商までもが居たので、病院についてだと予測はついたが、関係者が増えたことは正直あまりうれしくもない。
「お待ちしておりました、レイさん」
フィットチーネさんはそう言ってから、商談を始めた。
『生き腐れ』病が治ることについては秘密にはしていたそうだが、港の道端で堂々と話していたこともあり、秘密など早々守れるものでもない。
すでに噂ではあるが、一部には『生き腐れ』病が治るのではというのが広がっているようだ。
ほとんどが眉唾物として相手にされていないとのことなので、ひとまずは安心したのだが、蛇の道は蛇という訳じゃないがしっかり関係者には伝わったようだ。
そこで、フィットチーネさんとの長年のお付き合いのある奴隷商も病院経営に参加させてほしいと言ってきた。
病院経営ってフィットチーネさんがやるものだと思っていたのだが、どうも俺が経営することらしく、俺に許可を求めてきたのだ。
俺には拒否する選択肢はない。
できれば病院経営などもしたくもないのだが、さんざん世話になっているフィットチーネさんからの願いは聞かないわけにもいかず、フィットチーネさんが問題なければということで、了解しておいた。
ただこのままだと、この世界でも俺の過労死が見えそうになってきたので、防御だけはしておく。
病院経営は、俺がすることになりそうだが、俺は治療だけを見ることで、経営の雑務等についてはお任せできないかとお願いしてみた。
さすが奴隷商だけあって、それならばとっておきの奴隷を探してきましょうとその場で了承を得た。
病院用地については、この町に詳しいフィットチーネさんが責任をもって用意することで、残りの二人は病院スタッフの奴隷を探してくると言って、町を離れた。
ほとんどお任せになるが、とりあえず病院については任せることで打ち合わせを終えて、自分の店に戻った。
そろそろモリブデンの開港祭も終わりに近づき、ひときわにぎやかになっているが、これは祭りが終われば街はすぐに元通りに戻る前兆でもある。
店の女性たちは十分に祭りを堪能できたようで、俺としたらよかったと言えるが、これもひとえに王都から女性たち全員を連れ帰ったから楽しめたと言えるので、来年以降についてはどうなるか不透明でしかない。
何せ、俺の店もこの時期かなり賑わい、忙しかった。
祭り直前に、かなりの仕入れをしていたはずの酒もそろそろ底が付きかけてきており、とりあえず俺だけでも一度王都に仕入れに行かないといけなくなりそうだ。
王都での騒ぎも気になることだし、俺はダーナやナーシャを連れて王都に戻ると店でみんなの前で宣言したら、元騎士爵の人たち三人も連れて行ってほしいと嘆願してきた。
「自分たちは元とはいえ騎士です。
戦うために鍛えてきましたが、最近は戦うことも鍛錬する暇もあまりありませんから、腕が鈍る恐れがあり、王都の店を守れなくなりそうで不安です」
なんて言われれば俺としても彼女たちの要望にも応えないといけないと思ってしまった。
だが、俺たちの移動は馬車でのんびりとは違うと断ったうえで、連れていくことにした。
すでにおいしく頂いた後なのだから、野営での行為についても問題ない。
問題ないか??
相手をする女性が増えると俺の方の負担が増えるのだが、大丈夫……ということしておこう。
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