第114話 新たな美女奴隷

 

 まあ、戦力になる美女ならば、俺にとって言うことないが、それでも出費が痛い。


 新たな金儲けも考えないといけないか。

 あ、石鹸の種類を増やしたから、しばらくは様子見だな。


 しかし、前のメイドの時も思ったけど、かなり高価な買い物のはずなのに、俺はいい加減な取引をしていると思うことはある。

 なにせ俺はここまで奴隷本人どころか資料すら見ておらずに、支払いだけを済ませてしまった。


 俺もたいがいだとは思うが、ドースンさんもかなりそのあたりは緩そうだ。

 俺以外ではまともに商売をしているそうだが、それならなぜ俺だけにと考えなくもない。


 どうも、俺はフィットチーネさんのファミリーという認識で、ドースンさんの中で俺も身内扱いになっているようだ。

 当然、奴隷の販売価格も身内価格でかなり負けてもらっている。

 しかし、そう考えると奴隷って高価なものだと思う。


 まあ、令和の時代でも人件費はどこも経費のかなりの部分を占めているから、それを限りなく切り詰めるから社畜が生まれるのだ。


 この時代では社畜の代わりが奴隷という感じだと俺は理解した。


 くだらないことを考えていると、家宰さんが三人の奴隷を連れてきた。


 俺、まだ書類ももらっていないんだけど。


 さすがに身内扱いとはいえ、一応お客様だよ、俺は。


 さすがに、家宰の方が不味いと思ったのか、慌てて俺に三人のプロフィールの書かれた書類の束を手渡してきた。


 ペラペラ、ページをめくる。

 資料には、出身地と爵位、それに戦歴などが書かれていたので、特に戦歴がすごかったためにページがかさんでいた。


 そのうちの一人に名前は、スジャータと書いてあり、元騎士爵と前の爵位も書かれていた。

 前にここに来た時の説明では騎士爵は捕虜奴隷にならない、いや、なりにくいとあったが、彼女は捕虜奴隷として売られた訳で、当然理由があるはずだが、面倒くさいことにならないといいのだが。

 あいにく、そのあたりの事情についての記載はもらった書類には書かれていない。

 捕虜に対して身代金を支払われるのかどうかしか王宮では興味がないようで、いちいちそんなことまで調べられない。

 お役人とすればわからない話ではあるが、それを買う身分では、知っておきたい。

 あとで、厄介ごとが利子まで付けてやってこられるのだけは勘弁してほしいものだ。


 三人を前にして、ゆっくりと買った三人を見る。


 騎士爵の彼女の後から、これまた美人、あ、いや美少女と呼んでもいいのかもしれない女性が二人、先頭を歩く元騎士をご主人として立てるかのように歩いてきた。

 資料によると、彼女たち二人は、騎士の家来?付き人?といった感じの人だった。

 騎士の名はスジャータと言い、彼女が戦場で戦う際に連れて歩く部下の人だったので、当然部下の二人も戦闘力も半端ない筈だ。


 名前を一人がシルバーナ、もう一人がアイリーンとこれまた女性らしい名前だ。


「レイさん。

 すぐに始めようか」

 ドースンさんが奴隷を確認もさせずに奴隷契約を始めている。

 俺にあらでも探させないかのようだが、今回ばかりはただめんどくさいだけのようだ。


 あらを探されて困ったのは前回のメイドたちの取引の時だ。


 あの時は、時間も取って確認までさせてくれているのでドースンさんは俺をだます気は無いだろう。


 これで、もし俺をだます気があったのならば、最大級の問題を隠すくらいだが、俺の鑑定先生もそれらしいことは言ってこない。


 彼女たち三人は、すぐに奴隷契約を結ばれるとあって、あっけにとられている。


 そりゃ~そうだ。

 普通、高価な買い物だけに、きちんと確認はされることくらい、彼女たちも知っていよう。


 貴族であったのならば自身も奴隷の一人や二人も使っていたのかもしれない。


 女性の購入前の確認で、体の隅々まで調べられるくらいはこの世界では当たり前のようで、彼女たちもそれなりに覚悟はしていたようだった。

 この場で全裸にされての確認までも覚悟をしていたのだろう。


 しかし、現実には確認どころか名前も聞かれずに奴隷契約されるとあってあっけにとられるのも頷ける話だ。


 ドースンさんがまじめに仕事をしていないだけなのだが、俺もいちいち面倒であるのには変わりがないので、ドースンさんの云われるがまま奴隷契約を済ませた。


「あの~、ご主人様??

 もしよろしければお名前だけでも……」


 さすがに連れ二人を率いているだけあって、代表して今現在にして彼女たちの最大の疑問を自信なさげだが俺に直接聞いてきた。


 まあ、そうだよな。

 もう奴隷契約を済ませたのだから、奴隷商に聞くのもおかしな話になると考えたのだろう。


「ああ、すまなかったな。

 俺はレイという、しがない商人?冒険者?といった感じか。

 王都とモリブデンで商いをしている。

 君たちには王都の店で働いてもらうつもりだが、まずは名前だけでも聞いておこう。

 資料はもらったけど、まとめてもらったので、三人の名前は分かったのだが、だれがだれだかまでは分からない。

 悪いが君から自己紹介でも頼めるかな」


 先ほど自信なさげでも俺に直接聞いてきたスジャータから、自己紹介が始まった。

 歴戦の勇士といった感じの武勇伝までも彼女からではなく彼女の部下の二人から聞かされた。

 これならば王都でも荒事にはならないかな。

 彼女たちならば荒事になる前に、ほとんどの者は瞬殺されそうだ。

 俺の当初の目的は達成したとこの時に思った。

 彼女たちならば安心して任せられる。

 奴隷であることから裏切られることはないだろうし、荒くれ者も簡単に処理されるだろう。


 一通りの手続きも済ませて、とりあえず俺は三人を連れて店に戻った。

 店も昼のピークを越えており、順番で休憩に入っていたので、とりあえず俺たちも昼を作ってもらい奥で、新たな仲間と一緒に食事をとった。

 食事をとりながら店の従業員に三人を紹介していく。


 俺が三人を紹介していくにもかかわらず、肝心の三人は提供された食事に夢中で、どうにもしまらない初顔合わせになってしまった。


 うん、食事の後にすればよかったのか、いや、食事前にみんなを集めていっぺんにしておけばよかったと少しばかり後悔している。

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