第96話 教育事業?を始めました

 

 翌日から教育という名のムフフが始まった。


 前にお姉さんがフィットチーネさんに代わり王都で買ってきた東洋美人の二人がマリーさんに連れられて別館に来た。


「まずこの二人に教育してほしいの。

 ランとレン、これから教育を始めるけど、大丈夫よね」


 何がと思ったが、とりあえず様子をうかがう。

 何せ二人の表情が硬い。


 娼館に来た段階で覚悟くらいは出来ているだろう、乙女でもあるまいし。


 乙女……まさか処女?


「レイさん。

 この二人、まだ経験が無いのよ。

 教育の始めではありますが、まずは男と女の逢瀬おうせについて教えてほしいのよ。

 こればかりは私ではできそうにないかな。

 女性同士でも、まねはできるけどね~」


 マリーさんの言うことに俺は少しばかり疑問に思った。

 流石に禿かむろとして働いている少女たちは経験があるとは思えない。

 中にはそういう趣味の人がいて、乱暴に経験させた後に奴隷として売りに出す者もいるだろうが、流石に全員と云う訳では無いだろう。

 そんなペド野郎はいないことが望ましい。

 できれば少数であればと思っているし、聞く限りごくごく少数であるとも聞いたのでとりあえず一安心。


 話を戻して、なぜ娼館で働く女性の初めてが問題無く済むかと云うと、うまい具合にそういう体験ができる風習があるようだ。

 それならば、今回が例外なのはどうしてかという疑問は残る。

 そんな俺の疑問はすぐに解消した。

 俺の不思議そうな顔を見たマリーさんが言い訳の様に説明してくれた。


 ほとんどの場合、禿から娼婦になる時には、娼館のご贔屓ひいきさんに卒業させてもらうそうだ。

 現にマリーさんたちは禿から娼婦になる時に常連さんにしてもらったと言っていた。

 多くの場合、卒業を手伝ったご贔屓さんは、そのまま彼女たちの常連さんに付いて慣れない娼婦の新人時代をこなすのがこの界隈の仕来りとか。


 しかし、禿からでない場合にはそうもいかず、その場合、ほとんどが娼館主などの男衆に卒業させてもらうとか。


 しかし、東洋美人の彼女たちの場合はそうもいかなかった。

 彼女たちの場合を考えると、お相手となるのは慣例通りならばフィットチーネさんになるが、肝心のフィットチーネさんの方がそうもいかない事情があるようだ。

 王都では散々浮名を流していたとはいえ、流石に家族がいるモリブデンでは品行方正にしており、王都にいる時のようにはいかないらしい。

 気持の問題のようにも思えるのだが、ここモリブデンではそういう事は一切していないそうだ。


 そこで、白羽の矢が立ったのが俺と云う訳だ。


 なんとうれしい……いや驚く依頼だ。

 処女と分かれば、それなりのやり方がある。


 この世界に来るまでに魔法使いとなった俺ではあるが、今では奴隷を多く抱え、処女もそれなりに経験している。


「わかりました。

 ランとレンさん。

 今更ですが、覚悟はいいですか」


 二人は固くはなっているが、気丈にも頷いている。


「どちらから始めますか。

 二人同時でもいいですが」


「一緒でいいですか」

 非常に小さな声で、答えてきた。


 そこから二人同時に、あまり恐怖を与えないよう注意しながら二人の初めてを頂いた。


 二人の事後処理を兼ねて、せっかく風呂場にいるのだから体を洗ってやった。


 はじめ二人は驚き俺に洗われるのをよしとしなかったが、教育だといって洗い始めた。


 それこそ丁寧に洗ってやると、二人は事後だということもあって、またあの時の様につやっぽい声を出しながら洗われていった。


「随分とやるものね。

 私と初めてした時とは見違えるようね」


「ええ、お姉さん方にいろいろと教わりましたから。

 ところで、あの教育の件ですがマリーさんにも風呂場でのサービスを教えましょうか」


「そうね、二人はまだ無理そうだし、私が教わろうかしら」

 そこから、俺の知るテクニックをマリーさんに教えていった。


 教えるといっても、向こうの世界で俺は魔法使いになったので、こういう風呂を使う職業のお姉さん方について経験があるわけではない。


 俺の知る数ある独特のテクニックについては、そのうちのいくつかはこの世界に来てからダーナたちに試してはいるが、今回俺は知っているテクニック全てをこの世界に伝えたい。

 俺が何年もかけて右手相手に大人映像から仕入れたテクニックだ。


 うまくいったのもあれば、これはという感じのものまであった。


 それでも、マリーさんは総じて満足できたようで、回復し始めた二人に何かしらの言葉をかけている。


 そのあと、俺の方が撃ち尽くしたため、その日を終えた。

 俺的には非常に満足のいく感じだった。


 何せ撃ち尽くして、さらに三人分の日当まで支払われたのだ。


 いつまで続くかわからないが、しばらくは俺の新事業として教育が入ることになった。


 俺のまじめな事業の方でも広がりを見せ始めている。


 何せ娼館の別館に風呂を作ったことをきっかけに、リフォーム事業も始まった感じだ。


 ガーナをリーダーにして、風呂の増設工事を請け負った。

 はじめはフィットチーネさん宅の工事だ。


 別に別館工事でも十分すぎるお金を頂いているから、これ以上のお金はいらないといったのに、建材費とは別に金貨で100枚頂く契約だ。


 当然、太陽熱温水器に手押しポンプもついてくる風呂場になるため、手押しポンプやパイプ作りにサツキもリフォーム事業に駆り出されている。


 預かっているドワーフの子供たちのうち、男の子は鍛冶仕事に興味があるようだったので、そのまま男の子をサツキに預けて鍛えてもらう。


 女の子はガーナと一緒の大工仕事だ。


 俺というと、定期的に王都への仕入れ仕事もあるが、今は教育事業に集中している。


 フィットチーネさん宅の工事がひと月近くかかったのだが、商業ギルド繋がりで、大店の風呂工事も受注している。


 その受注も、最近はどんどん増えているので、正直少し怖い。


 あ、それに、子供たちには畳マットの制作もお願いしているが、簡単に人手が足りなくなってきている。


 あっちこっちと手を広げた結果なので、自業自得ではあるがどうしよう。

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