第92話 鍛冶女性の奴隷をゲットだぜ

 

「し、試行錯誤って、それでは失敗するかもしれないが……」


「そこのガーナに聞いていないか。

 うちでは失敗しても別に構わない。

 わざと失敗されては困るけど、より良い物を作ろうと失敗する分には、逆に俺はどんどんやってくれと言いたい。

 でないと、良いものはできないからね。

 それで、最後の返事を聞いていないが」


「よ、よろしくお願いします」


 彼女は俺達と一緒に仕事をすることに同意してくれた。


 俺は奴隷商のケントさんに彼女の購入をお願いした。


 彼女も金貨50枚で買うことができたが、これだけで済むはずがない。

 ここでは、彼女の引き取りだけでしかできない。

 ここで購入した奴隷たちは王都の奴隷商に持ち込んで、奴隷紋や税金などの処理をしないとこの国の奴隷として認められない。


 俺達は、このままドースンさんのところに行くから、そこで処理してもらうが、登録費用や税金などで金貨20枚くらいは余分にかかりそうだ。


 でも、世事に詳しいマリーさんが言うにはケントさんのところはとにかく格安で卸してくれるとか、彼女の場合でもオークション会場に持ち込まれたら、簡単に倍以上の値が付く、まず三倍の150枚で買えればいい位ではとも言っている。


 流石に150枚は大げさではないかと思うが、それでもカトリーヌ母娘で300枚だったからそんなものか。

 あ、彼女たちは夜の相手もしてもらっているから高い分には納得がいくが、そう言うことを期待しなくもないが、彼女を買う時に聞いていなかったし、まあ、今のところ夜の相手にも困っていないこともあるから、期待はしていない。


 結果的にはダーナを競り落とした時と同じようなものになった。


 俺もマリーさんも目的であった奴隷を購入して、その奴隷を連れているので、この後ゆっくりとここのバザーを見て歩く訳にはいかないので、直ぐにドースンさんのところに帰ることになる。


 広場から出ようとして人混みをかき分けながら進んでいると、俺はある物を見つけ、その場で固まった。


「レイさん、どうしました」


「ご主人様?

 あれが何か。

 欲しいのですか」


 俺はバザーが開かれている広場出口付近で、地べたに物を並べて売っている一人の商人を見ていた。


 いや、見ていたのは商人ではなく、並べている商品、それも違う、並べている商品の下に敷かれているござを真剣に見ていたようだ。


「あそこで、欲しい物でもありましたか?」


 マリーさんは優しく俺に聞いてくれる。


「いえ、商品ではなく、その下に敷かれている物を見ていました」


「むしろですか。

 あ、いや、むしろよりも良いものですね。

 あれはござですかね」


「ござと云うものですか」

 この世界にもござがあるのなら畳もあるのかもしれないが、まずはあのござはほしいかな。


「ええ、でもそれほど珍しい物でもありませんよ。

 モリブデンでも簡単に手に入ると思いますから」


「え、モリブデンにも売っているのですか」


「ええ、ですが、むしろより遥かに値は張りますから、人気があるとは言えませんが」


 ござがあれば色々と使えそうだ。


「モリブデンでも買えるのなら、ここに居る必要はありません。

 すみませんでした、お待たせして。

 もう大丈夫ですから、店に戻りましょう」


 俺たちは、先ほど買った奴隷を連れてドースンさんの店に向かった。


 ドースンさんの店では、案の定というかドーズンさんはフィットチーネさんと連れ立って留守だそうだ。


 まあ、俺たちを出迎えてくれた家宰の人でも手続きだけは出来るので、手続きを済ませた。

 そのあとは、奴隷たちのケアだ。


 前にオークションで買った時ほどは弱ってはいないが、それでも長らく風呂に入ってもいないようで、美人ではあるが、少々汚い。


 すぐにドースンさんの店の風呂で、身ぎれいにしてもらう。


「レイさんも一緒に洗いますか?」


 マリーさんは、わかっているだろうに俺のことをからかってきた。

 しかし、マリーさんの提案はとても魅力的で、思わず『はい』と返事を返しそうになったくらいだ。


 だって、日本美人だぞ。

 それも日本ではテレビでもなかなか拝めることのできないくらいの美人だ。

 それに俺の買ったドワーフの女性も、絶対見た目はJKだ。

 もろ美少女JK。

 それの入浴シーンなんか、もろ案件扱いだろう。


 まあ、俺のところの女性に限ってはそのうち見る機会もあろう。

 さすがに夜のお供までは期待していないが、でもちょっぴり期待していたりして。


 俺の買ったドワーフの少女?の世話は、同じドワーフのガーナに任せて、いったん街に出た。


 一緒にダーナとナーシャも連れてだ。

 さすがにマリーさんは仕事で忙しい。

 彼女も二人の女性の世話がある。

 それにこの後いろいろとあるだろうから、そのあたりもきちんと彼女には説明していくのだろう。


 そこに行くと、俺は何もない。

 仕事についても、すでに説明済だし、詳しく聞きたかったらダーナにでも聞けばよく分かる。

 何せ、今までダーナに頼んでいたことだ。

 そのダーナでもできないというので今回鍛冶仕事のできる奴隷を購入したというのだ。


 しばらくはポンプ作りで忙しくなるだろう。

 何せ、ここには手押しポンプなど見当たらない。

 探せばあるのかもしれないが、少なくともモリブデンでは見なかった。

 しかし、需要となると別で、俺自身が必要としていたのだ。

 他でも絶対に需要はある。

 そうなると予想できるのが、手押しポンプの販売で、少し混乱が予想できる。


 当分は、モリブデンの娼館の別館作りだけで忙しなるだろうが、そのあと評判にでもなればポンプの販売を考えないといけない。

 まあ、ライセンスのようなものがあれば、ライセンス契約で、他で作らせることを考えるが、料理のレシピでも販売ができるのだ。

 絶対に何かしらの方法がある。


 ポンプができてからの話になるが、一度商業ギルドに相談する必要がありそうだ。


 ………

 しかし、あの主任さんに相談はしたくはないな。


 まあ、なるようになれだ。


 俺は2人を連れて、今度はギルド前の広場まで来て、建国祭を楽しんだ。

 普段でもいろいろと出ている屋台が、この時ばかりは、その数と種類が半端ではない。


 面白そうなものを探しながら、買い食いをして祭りを楽しんでいく。


 夕方になり、一度ドースンさんの店に向かった。


 すでに身ぎれいになった女性たちがマリーさんから説明を受けていた。

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