第88話 娼館の別館建設の受注
「え、レイさん。
これな~に?
私初めて食べるけど」
「あれ、これ、本当においしいわね。
お酒にも合いそうだし」
「確かに、酒に合うな。
これもレイさん、娼館に出せないかな」
「流石に、このフライドポテトは、あ、これ、フライドポテトと呼んでいますが、冷めるとあまりおいしくはないのですよ。
ですから、うちで作って提供はするつもりはありませんが、娼館で出したいと云うのなら娼館で作るように作り方を教えますよ。
レシピならすぐにでも用意しますが」
「え、そうなんですか。
そのレシピならレイさんの言い値で買います。
是非譲ってください」
「簡単な料理とも呼べない代物ですから、お金は結構です。
これ、ポテトを小さく切り、油で揚げているだけですので」
俺はメモ書き程度のレシピを作り、フィットチーネさんに渡してから、実際に隣の厨房で簡単に作ってみた。
その後は、実際に娼館の別館についての相談だ。
各部屋に小さな浴槽を作ることは皆同じ考えだったようだが、その後が浮かばない。
実際にどういうサービスをするかになるのだが、そこで俺は提案をしてみた。
ここは令和の日本とは全く違う世界だ。
それに、娼館のステータスも日本とは異なりかなり高い。
特に、お姉さん方においては王侯貴族と同等の扱いすら受けるのだから、俺は思いっきり贅沢な案を出してみる。
浴槽の他に別室を隣に設け、そこで普通の娼館のようなサービスができるようにする案だ。
実際には、浴室の他、お酒や食事を楽しめる部屋に、あっちを楽しむための寝室の三部屋で一つの扱いにする案だ。
これはある意味、高級温泉旅館の離れのようなものと考えてもらえばイメージが湧くかもしれない。
実際に、それを参考にして、実際俺が受けてみたいサービスを妄想した結果だからだ。
まあ、離れと違い、一々別棟にするのではなく、ホテルのスウィートのようなものをいくつも集めたような娼館を作る案だ。
俺の案に、お姉さん方は、直ぐに反応した。
どうも大賛成のようだ。
そこで、さっき出したフライドポテトも出したいらしい。
「フィットチーネさん。
これなら、新人でも一日金貨10枚は頂けそうですよ」
「でも、マリー。
風呂場でのサービスについてきちんと教育しないとね」
「そうだな。
実際に、各部屋に風呂を用意するだけでも相当に金もかかるし、その分は頂かないと合わないが」
「フィットチーネさん。
その風呂ですが、先ほど見せてもらった装置を使えばかなりお安く用意できませんか」
「ああ、各部屋に魔法使いを用意しなくていいが……そうだな。
火を焚くだけだから誰でもできるか。
それなら、かなり安く使えそうだな」
「それに、そのお湯だって、昼に太陽で温めるようですから、その分もお得になっていませんか」
「レイさん。
あの装置はレイさんが作ったのですか」
「ええ、私がアイデアを出して、そこにいるガーナ達に作ってもらいました」
「そう言えば、この建物は」
「それもガーナ達に作らせましたが」
「レイさん。
娼館を作ってみませんか。
お金なら、レイさんが望むだけ用意しますが」
そこで、フィットチーネさんやお姉さん方を交えて、実際の別館について商談を始めた。
失敗しても問題にしないという条件で、一切をはじめから俺達だけで作ることになった。
費用は要相談だけど、それとは別に金貨で1000枚用意するとまで言い出す始末。
まあ、成功すればの話だけど、俺にとって悪い話ではない。
実際に作るのはガーナ達だ。
まずは部屋数を決めないといけないが、それはお姉さん方に考えがあったようで、10部屋というか、一日10人限定ということで簡単に決まる。
その後は、まず間取りを決めるが、そこは俺に考えがあり、敷地も限定することだし、何より、ポンプを使わないので、浴室以外は二階に用意することで、脱衣所と浴室、それにボイラーなどを一階において、各部屋に専用の階段を作り、二階に食事とムフフ部屋をつくることで話がまとまる。
別館を立てる場所は後日教えてもらうことで、フィットチーネさんたちとはここで一旦解散した。
その後は、俺とガーナの話し合いだ。
「造りについては、ここと同じようにレンガ作りで、面倒だが、各部屋ごとに階段を用意するのと、料理を提供するために二階には専用の廊下に、調理場も2階に用意する。
そんな感じで、間取り図を作ってくれないか」
ダーナもここに続いてなので、慣れたもので、直ぐに間取り図を作る。
できた間取り図を見ながら相談して、修正をかけて、出来上がった間取り図を持ってフィットチーネさんのところに向かう。
フィットチーネさんのところでお姉さん方を交えて相談して、簡単な修正後に、別館を作る仕事を受注した。
何分初めての仕事だ。
今回はフィットチーネさんからの受注ということもあり、失敗も含めての受注なので、ある意味気は楽だが、失敗などするつもりはない。
子供たちには、店の離れを作る時と同じようにレンガやパイプをとにかくたくさん作ってもらう。
ダーナにもレンガの水抜きなどの仕事をしながら王都の往復の仕事もしていく。
流石に店の離れを作った時の様にかかりきりになることだけは避けた。
流石に二度目は無い。
前回は本当に運が良かっただけで、危うく信用を無くすところだった。
十分にレンガが用意できたところで、初めて別館建設の現場に向かう。
と言っても、ここからも、娼館からも直ぐ傍、と云うか、3軒挟んだところに土地を用意していた。
この辺りって結構高級エリアになる筈なので、良く近い場所を用意できたものだ。
なんでも、商売が立ちいかなくなって、他の町に移った商館の跡地だとか。
その商館もすっかり壊されて、更地になっている。
俺は、町で買った大きな
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