第81話 下世話な話
「……
レイさんも相当無理をしたのだな」
「ええ、私と云うよりも、
「それで、レイさんはガーナをどうするつもりだ」
「どうするって??」
「その……
なんだな。
貴族が女を買うような……」
「あ、いや、そういうのは正直間に合っていますから……」
「何!!
レイさんと言えどもかわいい姪を侮辱するのは許さんぞ」
「ちょっと、お兄さん」
突然ガントさんが怒り出したところをガーナの母親が止めに入る。
その間に、ガーナの父親が聞いてきた。
「レイさんと言いましたか。
この度は最悪の事態になるところを、娘をお救い頂き感謝します。
で、先ほどの件ですが、レイさんも慈善事業でもするわけでもないでしょう。
今後について教えて頂けたら幸いです」
「あ、そういう心配するのは分かります。
確かに、私も少なくない金額……すみません、見栄を張りました。
正直相当痛い金額をはたいてガーナさんを買いました。
でも、正直、そろそろ追加で奴隷が欲しいと思っていたところですから、まあ、そう考えればガーナさんを買うことができたことは私にとっても良かったのでしょう。
あ、そうそう、皆さんはそういう事が聞きたかったのではないのですよね。
ガーナさんには私の事業の手伝いをしてもらいます。
当面は大工仕事でしょうか。
職場環境の改造をしてもらうつもりです。
ガーナさんは大工もしていたようですし」
「ん?
どういうことだ。
大工なら、それこそ専門の大工に任せれば……」
「ええ、前に見積もりを頂きましたが、ちょっと高めでしたから、少し考えました。
それに私のところは、少しばかり秘密が多くて、他に頼みたくないという事情もあり、下手な手仕事ですが、改造を今は私がしていましたから、その部分をガーナに任せるつもりなんですよ」
「その……
夜のお勤めについては」
「おお、そうだ、そうだ。
犯罪奴隷となったからには断ることできないんだよな。
それとも姪にはそんな魅力すらないというのか」
「いえ、ガーナは先ほども言いましたが、それこそ王都なら一晩で金貨100枚を稼げるくらいになるかもしれないと先の奴隷商も言っていましたし、私もとても魅力的に思います」
「それならなんで……」
「男なら、迷わず押し倒すところだろう」
「ちょっと、お兄さん!」
流石に、今の発言では怒られるよな。
ならば、俺も正直に話さないと収まりが付かなくなってきたところだし、あまり下世話の話はしたくはなかったけど、まあ隠していることでもないから、話すしかないか。
あまり子供の前ではしたくはなかったが。
「その、今連れている二人も奴隷なんです。
それに、モリブデンの店にも奴隷が少なくない人数居りまして、その……全員と……」
「全員?」
ガントさんが驚いて声をあげたが、それを聞いたダーナは顔を赤らめた。
ナーシャは平気な顔をしている。
多分、恥ずかしいということが分からないのだろうな。
「ええ、しかも、全員ともよい関係を築かせてもらっておりますから、その……順番が……」
「ガハハハッ。
そういう事か。
良く分かった」
「ええ、ですから望まない女性を無理やりというのは私の趣味に合わなくて」
「それなら、もしガーナが望めば……」
「その時は、本人とよく話し合います。
尤もその前に、他の女性たちとの話し合いもあるでしょうが」
「良く分かった。
今回は、本当にレイさんには世話になったな。
いや、これらもガーナが世話になる訳だし、レイさんには本当に申し訳ない。
わしにできることがあれば遠慮なく言ってくれ。
レイさんの頼みと有れば頑張るからな」
「そうですよ。
娘のために、本当にご迷惑をお掛けしました。
生きているだけでも奇跡だというのに。
本当にいい人に巡り合いました。
娘のこと、よろしくお願いします」
そんな感じで、ガーナの家族との案件は終わった。
涙や罵声の混じる最後で無くて本当に良かった。
俺達は、その後すぐにモリブデンに向かい、夕方には自宅に着いた。
もう店の方は閉まっており、ポテトチップスの製造の方も火を止めていたので、みんなを集めてガーナを紹介した。
俺の横に、いつものようにナーシャがいるが、反対側にいる女性に皆気が付いた。
「レイさん。
彼女は……」
「ああ、新しい仲間だ。
彼女を王都で買ってきた。
犯罪奴隷だが、ダーナと同様に冤罪だな」
「
ランが素直に聞いてきた。
「冤罪とは、犯罪者で無いのに間違って捕まったことよ」
ダーナがランに優しく教えている。
「詳しくは、後で彼女に直接聞いてくれ。
それよりも、彼女の名はガーナだ。
取引のあるジンク村のガントさんの姪御さんになる。
まあ、特別贔屓するつもりはないが、仲良くしてくれ」
「レイさん。
彼女は前に……」
「ああ、前に大工としてうちに来ている。
相方の事件に巻き込まれた格好だな」
「それで、彼女は、ナーシャやダーナと一緒に……」
「いや、ここで作業所造りをしてもらうつもりだ。
店に残すが、そちらの方にはかかわらないつもりだ。面倒だけは悪いが、見てくれ、カトリーヌ」
「はい、わかりました。
よろしくね、ガーナ」
「はい、こちらこそカトリーヌ様」
「様は止して。
私も同じ奴隷ですから。
私も事情は少し複雑なんですが、一般奴隷になるのかしら。
レイさんからこの店を任されております」
「ちょうど良かった。
皆も自己紹介をしてくれ。
その後、風呂にでも行こう。
俺も向こうに少し用もあるしな。
歓迎会は悪いが明日にしよう。
俺がしっかりと準備するから、それで許してくれ」
その後みんなで簡単に食事を取った後、連れだって、向かいの娼館に貰い湯に行った。
ガーナは大きな風呂に入れることに非常に驚いているようだが、俺も一緒に入るとはいかなかった。
俺の方は借りを先に返さないとと思い、直ぐにお姉さん方に面会を求めた。
本当は、ここの風呂が空いているということは、娼婦のお姉さん方はお仕事中なので、無理そうならば諦めようかと考えていたのだが、まだお姉さん方は誰一人として客を取っていなかったので、直ぐに会うことができた。
「すみません、忙しいのに」
「いえ、大丈夫ヨ。
それよりレイさんの方からこんな時間に珍しい。
ひょっとして私たちを買ってくれるとか」
「いえいえ、まだまだ無理ですよ。
それよりも、報告と、相談かな」
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