第60話 貰い湯で仲良く混浴

「それはそれは、毎度ありがとうございます。

 しかし、物はどうしますか。

 あの力持ちのお嬢さんが居ないようだが、配達させましょうか」


「いや、このダーナはスキル持ちだ。

 アイテムボックスに仕舞うから、問題無い。

 それよりも清算をしてくれ」


 店主と簡単に会話をしながら、清算をして、ダーナに買ったテーブル類を仕舞ってもらった。

 一応、ダーナに仕舞ってもらったという形をとっているが、ダーナのアイテムボックスの要領は前に確認している。

 仕舞える量ではないので、目立たないように俺がダーナの横からアイテムボックスを使って仕舞った。


 家具の買い物を済ませた後、この辺りを回って、食材を買い込んだ。

 適当な物しか作れないが、それでも町で食い物を買うよりもいい。

 何せ、塩を使わない料理など、本当においしくない。


 今までは、何とか我慢をしているが、そろそろそれも限界に来ている。

 4人増えるのだし、俺もそろそろ自分のために時間を使っても良いかな。


 町で買い込んだ食材を使い、簡単な料理を作っていく。

 料理と言っても塩で味付けをした肉を焼くだけだが、それだけだと味気無いので、買った野菜を使い簡単なサラダ、それにせっかくあるジャガイモを使ってポテトフライを添えた。


 塩だけはふんだんに使えるので、塩味一辺倒になってしまうが、それもやむを得ない。

 後はスープか。

 これも、買い込んだベーコン?だよなこれ、多分ベーコンらしき物体と、適当な野菜を鍋に放り込み、塩味で整えただけのものを出した。

 見た目はちょっとしたご馳走だ。


 ダーナたちには先ほど買ったテーブルを食堂に出してもらい、いすを並べて準備をしてもらっている。

 できれば、テーブルをきれいなクロスで拭きたかったのだが、そのクロスが無い。


 どこかで、一度クロスも買い込まないとと、心の中のメモ帳に書いておく。

 この世界に来てから、順調すぎるくらい順調に来ているが、それでも欲しいものはなかなか手に入らない。

 尤も、今までどんなに望んでも絶対に手に入らなかったパートナーだけはふんだんに手に入れることができたから、プラスマイナスで考えれば圧倒的にプラス側に針は振り切るのだ。


 贅沢を言っては、限りが無いがどうしても飯と風呂の不満だけは溜まっていく。

 これから追々それについても入手していくが、その第一歩として今日の歓迎会だ。

 準備が一通り終わったころにカトリーヌが4人の新人を連れて帰ってきた。


「ご主人様!?」


 テーブルの上の御馳走を見て固まっている。


「ああ、カトリーヌ達の時には余裕が無かったので、できなかったが、せっかく仲間になることだし、歓迎会をしようと準備した。

 まだ、部屋割りなどは全く手を付けていないから、買ってきた荷物はとりあえず隣室に置いておいて、井戸で手を洗ってきてくれ」


「手を洗う??」


「ああ、これから食事の前には必ず手を洗ってもらう」


「何故ですか」


 ナーシャが不思議そうに俺に聞いてきた。


「手を洗うことで、手に付いた目に見えない病気の元が体に入ることを防ぐことができる。

 本当に人は食べる時に清潔にしておかないと、病気に罹りやすいんだ。

 せっかく働いてもらうのなら、みんな元気に居て欲しいから。

 これから絶対に、食事の前には手を洗うんだ。

 それだけは絶対の命令だ」


「「「はい」」」


 みんな外に出て手を洗って戻ってきたところで、大人にはグラスにお酒を入れて、ナーシャ達子供たちには果物のしぼり汁を入れたグラスを配り、俺は簡単に挨拶をした。


「これからも忙しくなるけど、今日新たに4人の仲間を迎えた。

 一人ずつ名前を言うから、仲良くしてくれ」


 俺はそう言ってから、簡単に4人を紹介して、カトリーヌから、俺の奴隷たちの紹介もした後、目の前にあるご馳走を好きなだけ食べさせた。


 今簡単に言ったが、なんと、紹介よりもこのご馳走を食べさせ、酒などを奴隷たちに飲ませるのに苦労した。

 一々命令をしないと食べないのだ。

 と云うよりもご馳走に見える物を前に、彼女たちは怖がっているようだ。


 どう見ても、おいしそうに見えるところまではできた。

 味の方は正直不味くないレベル。

 しかし、彼女たちにはかなり好評で、相当うまそうに食べていた。

 中には泣き出すようにして食べているのも一人では無かった。


 酒の力を借りてどうにか歓迎会らしいことは終わった。

 今回は酒を出したことが大正解で、大人の4人は酒が無ければあんなに楽しそうに食べられなかったのでは。

 子供たちは、大人たちが楽しそうに食べているので、それにつられるように、どんどん食べていった。


 今回は、メインの焼き料理で肉や野菜を焼いたが、塩しか味付けができなかったこともあり、俺には不満が残るが、この世界に生まれた女性たちには、塩そのものが贅沢品で、相当にうまそうにしていた。


 でも、塩だけでも美味しく食べる工夫も欲しかった。

 串にさして焼き鳥にしても良かったと、後で思った。

 次回には考えよう。


 ちなみに今回女性たちに出してある酒は、俺が王都で仕入れているあの高級酒だ。

 一々買いに行くのが面倒だったこともあり、そのまま在庫から使ったが、アルコール度数はウイスキーほど高くないから、ほろ酔い加減でちょうど良かったのかもしれない。

 量も出さなかったし、何よりも彼女たちは酒を飲み慣れていなかったので、少しの酒でも酔ってくれたから、俺の方としてもお財布に優しかった。


 その後、ダーナに4人を連れて先ほどの家具屋に連れて行き、彼女たちのベッドと、カトリーヌ達を含む全員分のロッカーのような収納家具を買いに行かせた。

 流石に、俺がついて行かなかったのでベッドなどは家具屋の馬車を借りて運ぶことになったが、家具屋も大量に買ったことで気分が良かったのか、手数料などの余分なお金はかからなかった。

 尤も、家具屋が運んだのはうちの裏庭までで、屋敷の中には俺とナーシャが各部屋に運んでいく。

 俺が部屋まで運んでからナーシャの怪力で、各部屋に上手にセットしていった。


 夕方には買い物組も全員が戻り、昼のような豪華な食事では無いが、全員がそろって食事をして、その後、みんな揃って娼館に向かった。

 娼館でしばらく待つかと思ったのだが、先にフィットチーネさんに貰い湯について許可を取ったためか、直ぐに入れてもらい、全員そろって風呂に入る。


 ダーナはもちろん、ナーシャも大分栄養状態が良くなったためか、だいぶ成長してきている。

 この分ならそう遠くない時期に頂けるかもしれない。

 それとも、物語でよくある獣人の特徴で、レベル上昇に伴うってやつかもしれないが、俺としては育つのは大歓迎だ。


 母娘も夜には毎日のように拝ませてもらっているが、明るい所で良く眺めさせてもらうと、二人ともとてもおいしそうだ。

 だが、新たな仲間については、正直直ぐに欲しくはないレベルだ。

 彼女たちは間違いなく美人ばかりなのだが、今までの食生活の悪さのためか、肌の張りも良くなく、しばらくは十分に栄養を取ってもらい、休ませる必要を感じた。


 明日から働いてもらうのだが、その辺りも考えて、徐々に生産量を増やしていこう。


 眼福とまではいかなかったが、それなりに楽しい入浴時間を過ごし、いや、眼福だったが、どうしても女性たちの健康状態が気になったので、そこが気になり、楽しむことに集中できなかったのが残念だった。

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