第54話 お姉さん方に相談だ

「レイさん。

 すみませんが、ギルドの方に私と同行願えますか。

 レイさんを訪ねて来たお客様が来ております」


「え。

 それなら、そのお客様を御連れした方が早かったのでは」


「いえ、あの~。

 それとギルドの方からお願いがありまして、主任がお話をしたいと申しておりますから、ついでにと……」


「分かりました。

 直ぐに参りましょう」


 そう言って、ギルド職員と一緒に商業ギルドに向かった。


 商業ギルドに入ると、目の前に小柄な女性と、その連れらしき厳つい男性の二人組が俺のことを待っていた。

 二人ともドワーフであるので、小柄なのだが、どうしても男の方は体つきが厳ついと云うか、顔も少し強面で、ちょっと苦手かもしれない。


 その代わりと言っては何だが、女性の方は、なんと言って良いのか、うん、こがらなJKと表現した方が一番嵌ると云うか、それでいてスタイルの方がグラマラスと言うか、とにかくアンバランスだが、俺のストライクゾーンど真ん中な女性だ。


 JKのようにも見えるが、女としての魅力がとにかくたまらない感じの女性だ。

 できれば男要らない。


 まず、その二人に話があるらしく、俺たちはそのままギルド応接室に通された。


 俺を訪ねてきた二人というのが、前に風呂の件でジンク村のガントさんに頼んだ件で俺を訪ねてきたようだ。

 どうも、二人は大工らしい。

 俺の依頼を受けるかどうかで、まず話がしたかったようだった。


 俺は簡単に希望を言ってから、後で二人を俺の店に案内することで簡単にギルドでの話し合いは終わった。


 普通なら、俺が二人を連れて店に向かえば終わりなのだが、そうはいかなかった。

 二人にはこのまま応接で休んでもらい、俺は別室に連れて行かれた。


「レイさん。

 すまないね。

 私はここの主任を務めるものだが」


 そう言って、直ぐに用件を伝えられた。

 彼は俺と話がしたかったと聞いていたが、用件だけを一方的に伝えられた。

 なんでも、俺に対してクレームが入ったとかで。


「え、何ですか。

 ポテトチップスを買えないとクレームが付いたのですか」


「ああ、なので、取引量を増やすなどして、どうにかしてほしい」


「え、この町では商品を売らないだけでクレームになるのですか。

 しかも、一度も取引どころかあったことの無い人に対して」


「あ、いや、そう言う訳では無いのだが、商いのチャンスはできるだけ平等にしたいというのがギルドの本音かな」


「頑張ってみますが、それでも既にかなりの客に待ってもらっておりますから、ここにクレームを付けた人に回るかどうかまでは分かりませんよ」


「え、そうなのか。

 だが、それなら、うちが斡旋する客にだけでも優先的に……」


「流石にそれはどうなんですか。

 ギルドの命令なら従うしか無いのですが、只の要請程度でしたら、私の信用にも関わる話ですから、今はとにかく頑張ります」


 なんだかきな臭い話で、どうも相手の方も歯切れが悪い。

 大方、主任が付き合いのある商人あたりから金でも掴まされての話じゃ無いかな。

 だが、そこまで人気があるようなら、そろそろ別な手も考えないとまずいかな。

 俺は先のドワーフを迎えに応接室まで戻り、店まで案内していった。


「ここが私の店なんですが、どこでもお見せしますから、検討してみてください」


「ご主人は風呂が欲しいと云う話を聞いたのだが、水回りはどんな感じだ」


 など色々と聞かれたが、良く分からないことも多く、結局自分たちだけで、見て回ると言われた。

 今、ポテトチップスは作っていないので、それ以外の秘密はここには無いが彼らが他人というのもあって、ナーシャを付けて好きにさせ、俺は一度フィットチーネさんのところに向かった。


 色々と相談したいことが出て来た。

 主に俺の作るポテトチップスについてだ。

 フィットチーネさんの自宅の前に着くと、いつものように出迎えてもらい、そのままフィットチーネさんの執務室に連れて行かれた。


「こんにちは、レイ様

 今日はいかがしました」


「ええ、少しご相談がありまして。

 大丈夫ですか」


「ええ、レイ様の相談でしたら、いかようにも。

 その相談事って、ご商売の件ですか」


 そこから現状を話し、奴隷の追加などにも触れて相談してみた。


「そうですか。

 商売が繁盛なのは良い事なんでしょうが、急に商いが大きくなりすぎるのも問題はあるでしょうね。

 その上ギルドからの話まで。

 あまりそう言ったことは私は聞いたことが無いのですが、無視する訳にもいかないでしょうし。

 ……

 なにより、レイさんのところで扱っている物はうちの娼館の営業にも関わってきますから……

 そうですね、これから娼館に行って、彼女たちにも加わって話し合いましょうか。

 正直、娼館営業については勉強中なのですが、どうしても分からない事が多く、彼女たちに任せきりですし、彼女たちの方がそう言った面でもくわしいかもしれませんから」


 フィットチーネさんはそう言うと、すぐさま自身が経営する娼館に向かった。

 ここからだと、ほんの少しの距離なので、二人で歩いて、娼館に行くと、娼館前にはまだ昼過ぎだというのににぎわっている。


「ずいぶん繁盛しているようですね」


「ええ、彼女たちも良くしてくれていますし、何より良い酒と良いつまみが評判なんですよ。

 あ、だからでしょうか、レイさんに変な話が舞い込んだのは」


「そうですかね。

 まずはお姉さん方に話を聞いてからですね」


 フィットチーネさんと俺はそのまま並んでいる紳士諸君の横を通り過ぎ中に入る。

 直ぐに男の人が来て、俺たちを奥の部屋に案内してくれた。


「彼も、奴隷なんですが、別の町で商売をしていた借金奴隷なんです。

 ここのフロアを任すには本当によくできた奴隷で助かっております」


「普通、こういう商売って奴隷に任すものなんですか」


「他の娼館についてはあいにく詳しく無いですが、商売全体で見ると、半々ってところですかね。

 いや、少数派なのかもしれませんが、それでもそんなに珍しい話では無いかと思いますよ」


「あら、レイさんもいらっしゃいませ。

 ご主人様と難しいお話をしていたようですが、今日はお客様という訳ではなさそうですね」


「納品とも違うようですが、何か御用ですか」


「ええ、今日は相談事がありまして」


「相談事ですか。

 ああ、そうそう、先ほどレイさんがお話していたことですが、王都ではコネで店に働きに出るか、借金奴隷で買われても、解放された後もそのまま働いているような感じが多いですね。

 ですから珍しい話ではありませんよ。

 相談事って、この件では無いのでは」


「いえ、少々違います。

 実は……」


 そこで、俺はギルドの件を話してみた。

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