第51話 みんなでモリブデンに帰還

 スタートが早かったので、その夜はとても体力を使う羽目になりました。

 最近結構鍛えている自覚はあるが、流石にあの人数だ。

 とても疲れた。


 ナーシャは、最近全裸での参加をしている。

 自分だけ、仲間外れは嫌だと言ってきかなかった。

 もう少しだ、ナーシャ。

 まだ、その体形は事案案件になるからおじさんには越えられない壁がある。


 事後に後始末をしてもらうことで、どうにか抑えている。


 翌朝、みんなの表情が明るい。

 なんだかつやつやしている。

 元気なのは雇用者として嬉しいが、何でだろう。


 皆で朝食も宿の食堂で仲良く食べた。 

 その席での会話でフィットチーネさんがこの宿に戻ってきていないと聞いた。

 まだ、王都の視察を昨日も続けているという。

 なんだか羨ましいような、それでいて、俺は十分に満足しているからそうでもないような気がしてくる。


 その後は、今度は全員でドースン奴隷商に向かった。

 今日一日休んで明日はモリブデンに戻ることになる。

 奴隷商では、フィットチーネさんの買った奴隷たちが全員食事を取っている。

 誰一人欠けることなく、全員が食事をとれるようにまで回復している。


 支配人が俺のところまできてお礼を言ってきた。

 その後、支配人が粥について聞いてきたので、俺は素直に答えた。

 彼はアポーの実の無い時に、他ので代用ができるか知りたかったようだ。

 要は食事がとれないから元気が出ないだけで、食べられなければ無理にでも食べられるようになんでもいいから。栄養のある物を液状にできれば大丈夫とだけ言ってある。

 その際、栄養がある物なら何でも大丈夫だが思いつかないようならばということで、麦粥でも問題無いと、簡単な麦粥の作り方まで教えておいた。


 結構、仕入れる奴隷の衰弱は奴隷商にとって問題だったそうだ。

 今回のことで、それについても対策に目途が付くとのことで、あとでドースンさんからお礼も出すとまで言っていたが、肝心のドースンさんはまだいない。


「ええ、まだ帰ってきておりませんが、直に帰るでしょう」


 その後、ここでドースンさんとフィットチーネさんを待って、俺たちは解放された。

 昨日の乱闘で、すっかり俺の奴隷どうしは仲良くなっているので、今度は俺の方が、彼女たちの理解を深めるために、一旦宿に戻り彼女たちの話をじっくりと聞いた。


 なんでも、この国と対立関係にあるお隣の帝国のある町で、商売をしている男と結婚をして娘を設けたが、その男が商売で失敗し、親娘ともに借金奴隷として男に売られたという。

 結構ひどい話だ。


 その後、二人を買った貴族、最下級の騎士爵だったそうだが、開拓に行くので、それについて国境に近い開拓村で生活を始めた直後に、王国との戦争に巻き込まれて奴隷として王国に連れて来られたという。


 俺は二人に、故郷に戻りたいかと聞いたが、二人とも二度と戻りたくはないと言っているので、俺は俺自身の秘密をある程度伏せてだが、俺たちのことを丁寧に説明しておいた。


 二人は、商売をしていただけあって、読み書きに計算から帳簿付けまで出来るというので、正直俺にとって、こんなお買い得は無い。

 俺が親娘に時間を取られていた間、暇していたナーシャとダーナを呼んで、二人に読み書き計算を習ってもらうように命じておいた。


 必要な筆記具と、諸々の物を、買いに王都の町に全員で出向き、簡単な本なども買った。


 後で、できればダーナには魔法も覚えてもらいたいが、二人の親娘も魔法の才は無く教えることができないと言われた。


 いずれ、今度は魔法使いでも買いたいと、次の目標とする。


 買い出しも無事に終わり、その日は宿に戻り、奴隷たちはそれぞれ勉強してもらった。

 ダーナの方は、読み書きの方はどうにかできるが計算が苦手だとか。

 なので、ダーナは計算を中心に学んでもらい、ナーシャは一から全部教えてもらう。


 二人には、俺の手伝いをするうえで絶対に必要になるから真剣に学んでほしいと言っておいたら、ものすごく真剣に学び始めた。


 正直驚きだが、ありがたい。


 その夜も昨日と同様に夕食の後仲良く入浴して、夜の乱闘に移る。

 昨日まで処女だったマリアンヌも今日はより積極的に参加してくるので、俺は返り討ちにしておいた。

 ダーナに見えたあのピンクの点が見えないかと探したら、親娘にも見つけることができたので、助かったともいえる。

 しかし、海千山千のお姉さま方には無理の様で、全く見つけることができずに俺が負けたのだと、ここに記しておこう。


 かなり経験を積んだと俺なりに自信があったのだが、その自信をいともあっさりと打ち壊された。


 翌日は、いよいよモリブデンに出発するために、ドースン奴隷商に向かった。

 店の前には既に出発準備を済ませた馬車が4台……4台?

 何で4台もあるんだ。

 俺が聞いていたのにはドースンさんから店の馬車を1台借りて、それで、奴隷たち15名を乗せ運ぶはずだったが。

 俺たちは歩いても別に問題無かったので構わなかったが、4台とは多すぎる。

 俺と暁さんだけの護衛ではさすがに足りない……何で見たことの無い冒険者も多くいるんだ。

 キャラバンなんて聞いていない。


「やっと来たかレイさん。

 今回はよろしく頼むな」

 え、何で、何でバッカスさんが馬車から顔を出しているんだ。


「おはようございます、バッカスさん。

 遅くなり申し訳ありませんでした。

 が、なんでバッカスさんがここに居るのですか?」

「何で、って言われても。

 やっと休みの調整もできたことだし、フィットチーネさんからの許可も貰いましたから、モリブデンに遊びに行くんじゃないですか」


 遊びに、ああ、娼館に行くのか。

 行くのなら一緒の方がという訳か。

 それで、バッカスさんが雇った護衛の方もいるという訳だ。


 出発前にちょっとゴタゴタがあったが、それでも直ぐに王都を出発した。

 今回は人数もいるのでちょっとしたキャラバンになるから、移動はややペースを上げて、モリブデンまで7日で着くことができた。

 途中は全て夜営になったが、何故かこの夜営をバッカスさんやドースンさんが非常に喜んでいた。

 なんでもサリーさんとお話しする機会が増えるのが良いらしい。

 本当にお姉さま方の影響力ってモリブデンではあまり感じなかったが、王都では絶大だな。


 無事にモリブデンに着いて俺たちは解散となった。

 今度の王都行きも非常に疲れたが、それでも新たな仲間ができたことは非常にうれしい。


 早速俺は、あの親娘を自宅に連れて行き、まず彼女たちの部屋を作る。

 個室が良いかと尋ねたが、親娘同じ部屋で良いと言われた。

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