第5話

それからわたしは今塚さんと

カラオケデートを重ねた。

今塚さんの十八番は、三波春也の

東京チャンチキなんたらとかいう

ようわけのわからん曲だった。

わたしの十八番は(どうでもいいか)

松田正子の白いスピーカー。名曲だと

思います。

「今日は楽しかったよ。藍佐さん」

夕陽の見える公園で、わたしたちは

初めてキスをしたの。

 ロマンティック。

「藍佐ちゃん」

「はい」

「銀行のキャッシュカードは持ってる?」

「はっ、はあ?」

「ボクタチもう恋人だろう。だったら

キャッシュカードと暗証番号を

もらって、教えておいて欲しいんだ」

「でっ、でも」

「結婚しよう.藍佐ちゃん、ねっ、それで

いいだろう?」

「ハッ、ハイ」

わたしは素直に頷いて今塚さんの

胸に顔を埋めてしまったの。

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