僕らだけ。

Rotten flower

第1話

「お気に入りのものって何かある?」

西日の差す場所で彼女は机に腕を置きながら話し始めた。生徒はみんなどこかへ行ってしまって僕ら二人しか残っていない。

「お気に入りのものか。今聞くのは少し不謹慎じゃないか。まぁ、僕なら別にどうでもいいけど。」

彼女は首が傾げる。きっと、どの部分が僕にそう思わせたのかわからないのだろう。

人は誰しも癖を持っている。彼女の場合は考えるときに首を傾げて僕は考えているときに足を伸ばそうとする。今だってそうだ。足を伸ばして結果、綺麗だった白い靴に血がついてしまった。まぁ、あとでも作ろうしここで心を病んでしまっては仕方がない。

「私が好きなものはね。

君と話す時間。それと、


このどこまでも続く水平線。」

さっきの地震で教室の壁とか、高いビルとかそういうものは全部崩れた。まるで何か大きい怪獣が地均ししたかのように。僕らは巫山戯て入ったロッカーの中で何故か生き延びた。外に出ると教室だったものの上できっとすぐ来る死をずっと待ち続けていた。

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