第4話 黄金龍、襲来 (領内動乱編4)
使用人達はカグツチ公の指示を受けて慌ただしく動き始めた。
その慌ただしい雰囲気を幸は飲み込まずにいた。
「貴殿は私に着いて来てくれ。」
「わ、分かりました…。」
幸は状況を飲み込まぬまま、カグツチ公に連れられ、屋敷の外に出た。
そして、幸とカグツチ公に続いて何処から持ってきたのか分からないが、大きな骨つき肉を数人の使用人が持ち上げて、その他の使用人が後に続いて屋敷の外に出て、その直後、全身が黄金の鱗に覆われた巨大な龍が空から降りてきた。
「変身なさらないのですか?」
「今回は良いのだ。」
「何故ですか?」
と、カグツチ公が聞くと、黄金の龍が返答する前に黄金こ龍から何かがひとりでに黄金の龍の手から何かが飛び出して、幸の頭に乗った。
「…ん?」
「どうやら、お主は選ばれたようじゃな。」
「…えっ?どういうことですか?」
「すまぬ…話して良いか?」
「失礼しました。どうぞ。」
「先程、カグツチ坊が言っていたが、お主はそのタマゴ、つまり我が子に選ばれたのだ。誇るべき事なのだ。」
「は、はあ…。」
「まあ、分からぬのも無理はない。私はお主が別の世界から召喚されてきたのを【救世の水晶(きゅうせいのすいしょう)】を通して見ていたからな。」
「そうなのですか。」
「そうなのだ。そして丁度良い機会である為、簡単に説明しよう。我等、龍族は基本我等の国から出て行くことは殆どなく、あるとすれば今回の様に子龍や龍のタマゴが本能のままに出る場合のみであり、それはとても稀有なのだ。」
「因みに以前は何時なのでしょうか…?」
「そうだな…今から凡そ500年前だ。」
「500年⁈そんなに前なのですか…‼︎」
「それ程驚くことではない。言ってもたかが5世紀前ではないか。」
「…何をそんなに平然としているですか!俺のいた世界では一つの国が成立し、滅亡するまでの何月なんですよ!」
「そうなのか。しかし、この世界ではその常識は捨て去るのだ。何故なら、この世界の国は殆どが建国から700年は経っているからな。」
「そ、そうですか…。」
「して、話を戻すが、そんな稀有な事象が起こり、そのタマゴはお主をパートナーと本能で選んだのだ。そして、選ばれた者にはその選んだ子龍またはタマゴを育てなければならない。」
「…えっ?因みにそれは俺がこのタマゴを温めて孵さないといけないんですか…?」
「当然だろう。しかし、生まれた龍がどの様な考えや性格になるかはお主次第だ。それでは私は失礼する。」
こうして黄金龍はタマゴを幸に渡し、一通りの説明をすると飛び去っていった。
「では中に戻るぞ。」
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