第3話 三王教 (領内動乱編3)

「だが…どうしました?」

「そしてついさっきののことだ。ホムラ、あのバカ息子はここの地域にある唯一の三王教の教会を魔道具の実験と称して破壊したのだ!」

「…はぁ。大事件というのは分かるのですが、その…三王教?のことを良く知らない俺にはサッパリで…。」

「そう言えば確かに教えていなかったな、すまない。悪いが、アレを持ってきてくれ。」

「承知しました!」

 暫くして何かを取りに大広間から出て行った仕様人が何かの巻物の様な物を持って戻ってき来た。

「お待たせ致しました、旦那様。」と言って、仕様人は持っている巻物のような物を広げて、そこに天井に吊ってある魔道具の光を当てると巻物に書かれている絵が大広間の壁に映し出された。

「(こういう異世界って大体科学力は中世レベルなのに…すげえな、これはまるでプロジェクターじゃねぇか!)」と、幸が関心しているとカグツチ公が問いかけてきた。

「準備が出来たようだから、説明を始めたいのだが良いか?」

「はい。」

「そうか。良し。レオ、始めてくれ。」

カグツチ公にレオと呼ばれたライオンぽい獣人が「はい。」と、返事をして説明を始めた。

「今から1万年以上前、この世界は無神王(むしんおう)コラプスとその部下の無壊族によって当時の人間をはじめ、すべての生き物が協力して対抗し、いよいよ全ての生き物は終わるのだと窮地に陥りそうになった時、3つの種族の王が無神王の前に立ちはだかり、無神王と3人の王達の戦いは当時のこの星の環境が変わる程に熾烈を極めた。そして最後は3人の王が力を合わせ、無神王を裏の世界に封印し今に至る。そして、現在の三王教は無神王を封印した3人の英雄王を神として信仰している宗教でこの世界の種族が基本的に信仰しているこの世界最大の宗教なのです。」

「成程。確かに、そんな凄いことをした人達を信仰する宗教の教会を破壊したのはとんでもなく罰当たりなことですね。」

「…分かってくれたか。」

「はい。ですが、それだけのことをしたにしてはご子息とは言え、甘いのでは?」

「…ああ、それは私自身も思う。が、私にはあの処分で精一杯なのだ。」

「分かりました。」

「理解感謝する。」

「いえ、俺も似た経験をしたことがあるので」

「そうか、君はその年で色々と苦労してきたようだな。」

「心遣いありがとうございます。」

「では、改めて聞こう。我がジャック領の領主を引き受けてくれないだろうか。」

「カグツチ様!非常事態です!王都より黄金の龍がここ、ジャック領に向かって来ているという報告が!」

「何!分かった!皆の者!急ぎ!外へ出て出迎えの体制を整えるのだ!」

 使用人達はカグツチ公の指示を受け慌ただしく動き始めた。



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