第5話 望みを託して
突然、一筋の光が差し込んだ。それは静かに宗次に近づき、宗次の体内に吸収された。
「?」
この一筋の光をきっかけに次々と白い光が宗次に近づき、吸収されていった。
不思議なことに、宗次の体内から力がみなぎる。左腕の痛みもなくなった。
その白い光は途切れることなく宗次の体内に吸収されていく。
「何故だ? 何故、信仰がお前のもとに?」
「かっ、かかかかかか!」
宗次の声を借りて荒哉が大笑いした。
「行曹、お前は大きな勘違いをしている」
「何?」
「分からないか? これは魂の祈りだ。生きたいという祈りを、希望を、宗次に託しているのじゃよ。まだ分からないか? 誰もお前の極楽送りなんて望んでいないのだよ」
姿の見えない行曹が息をのんだのが分かった。
*
その頃、皆子山にいた僧侶達含め、京都にいる誰もが祈っていた。
願わくは、救われますように。
決して極楽に行きたいという意味ではない。
死にたくないという意味だ。
誰もが生きたいと願っている。
その強烈な祈りが、信仰が、救世主――宗次に向けられていた。
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