第7話 強すぎる想いの行方と……
青い炎で仏像は燃え上がり、仏像は完全に木片となってその場に落ちた。
「儂の炎で魂も焼けているのじゃろう。この調子だと倒せる」
青い炎で仏像が燃え尽くされたのを見て、宗次は左腕を降ろした。同時に青い炎が消える。
「終わった……」
仏像、覚醒者を倒した。
その瞬間、宗次の体ががくんと傾き、その場に蹲る。
(疲労が……)
重すぎる疲労のせいで体が全く動かない。
宗次の頭の中で荒哉が言う。
「儂の力の使い過ぎだ。肉体にも魂にも限界が来たんだろう」
「う……く……」
「やはり左腕だけじゃ足りない。どうだ? これを機に御前の肉体全部を儂にくれんか? 今後のために」
「や、やらない……」
宗次の肉体全てを荒哉にやれば、宗次は仏像、覚醒者がいなくなった世界をみることが叶わなくなる。
宗次から大切な人を奪った仏像、覚醒者をこの世から全て消すためにも、
「冗談よ。本気にするでない」
荒哉はヘラヘラと笑って飛ばす。
宗次は這いつくばりながら前に進む。
(それにしても……)
気になることがある。
あの6人の僧侶たちは、行曹は人類皆を極楽浄土に連れて行くために覚醒者を生んだ、と話していた。
そうだとすれば、仏像、覚醒者がこんな荒地に現れるのはおかしくないか?
「御前は思ったより賢いのう、歳はいくつか?」
「15だ」
「なら立派な大人だ」
その時、目の前の建物が大きく左へ傾いた。あの仏像、覚醒者が屋根を突き破って飛んだことで崩壊が一気に進んだのだろう。
はずみで閉じていた正面の扉が開いた。
正面に置かれていたものを見て、宗次は目を見開いた。
たくさんの蓮の花に囲まれてうなだれている人がいる。胡坐をかいているその人の隣には腐敗した首が置いてあった。
近づいて見たその顔に見覚えがあった。
「
この瞬間、疲労が吹き飛び、気づけば宗次は咲守の傍に近づいていた。
咲守の両腕はだらんと降ろされてピクリとも動かない。
そんな咲守の様子に言葉を詰まらせていた宗次の意に反して、荒哉は言い放った。
「宗次よ」
――――逃げよ
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