4章 たった一人を救わんと……
第1話 夢現(ゆめうつつ)
来た時と同じように目隠しと拘束をされた後、宗次は担がれてどこかへ連れて行かれた。そしてゆっくりと降ろされた時、やっと宗次は左腕の呪符がはがれる音を聞いた。
「明日、君はヘリで滋賀県に降ります。京都府以外の高速道路や一般道路が使えない以上、これしか他県に行く手段がありません」
拘束が解かれた後、目隠しが外される。宗次が目を開けると、そこは豪華なホテルの一室だった。シャンデリアや毛皮のソファ、真っ白なふかふかのベッドは今まで生きてきた中で見たことなかった。
宗次が振り返ると、最初に出会ったあの僧侶が部屋から出て行こうとしていた。
僧侶は一旦立ち止まると、体を首だけ振り返って言う。
「健闘を祈ります」
宗次は真っ白なふかふかのベッドに横になり、うとうとしていた。
まどろんでいると、宗次は夢を見た。
夢の中で宗次の母が出て来た。宗次の母は変わらぬ姿で柔らかな笑みを浮かべている。宗次は母に駆け寄ろうと一歩踏み出した。
「!」
宗次が足を踏み出した途端、母の肉が足元から溶け始めた。宗次はその場で固まっていると、顔だけになった母が言った。
「何で助けてくれなかったの?」
宗次は飛び起きた。
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