第4話 次の場所へ

 平安時代の京で行曹が殺生を行った時、日本中の僧は行曹から肉体を奪った。

 しかし、行曹から肉体は奪えたが、魂は壊せなかった。

 だから当時の僧たちは全力で魂を封じ、行曹の魂が弱った時にその魂を壊そうと考えた。魂が弱るのは計算すると約3500年後のはずだった。

 だが、それよりかなり早く、封印の方が限界に達してしまった……。



 6人の僧侶はしばらく沈黙していた。

 気まずい時間が流れ続けたが、一人がゆっくりと口を開いた。


「邪鬼の言う通りだ。行曹は人間の体を手に入れ、現世に復活した」

「やはり……」

「だから君に頼みたい。もう一度、行曹を封印してほしい。あれは生きる厄災、二度と蘇ってはならない」


 その時、意識の全てが宗次に戻る。荒哉が意識の全てを宗次に戻してくれたのだろう。

 宗次は言う。


「……生ぬるい」


 宗次は左手で拳を作って続ける。


「封印じゃ生ぬるい。行曹の魂は覚醒者と共にこの手で粉々に壊す。情報を全部渡せ。次に仏像は、行曹はどこに現われる?」

「巻子本によれば、仏像は……」


 滋賀県にある。

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