3章 封印解かれし
第1話 同行
一緒に来てもらおうか。
僧侶の言葉に宗次は言い返す。
「話しておきたいことって?」
「それは来てくれたら話します」
答えになっていないのう、と荒哉の声が頭に響く。全く以て同感だ。
「……来れば分かるのか?」
「ええ。あなたにしか話せませんが、ここは人目につきます。誰が聞いているか分かりませんので決めるなら早くに」
「もしかして、行曹に関わることかのう」
勝手に口を開いた荒哉の言葉に僧侶は軽く眉を動かした。
「図星かのう?」
「黙れ……」
丁寧な口調から一転、否同行を求めた時から僧侶の口調が時々乱暴になっている。
今発した僧侶の言葉に宗次は鋭い棘を感じた。
これ以上話すとまずい。
そう思うのに荒哉は構わずに勝手に話す。
「はて、君らが話したいこと、いんや、隠していることとは何かのう?」
「邪鬼が!」
宗次の体が勝手に震えた。その震えは僧侶から発せられた乱暴な言葉と殺気によるものではない。荒哉が言った「隠していること」という言葉だ。
(まさか……)
宗次は大きく身震いする。
「見当はついておるが実際に聞きたいものだ。宗次、同行せよ。聞いてやろうではないか」
「お前が勝手に決めるな。決めるのは僕だ」
「じゃが、決まっておるだろう?」
宗次はこの僧侶の口から真実を聞くために、僧侶に同行することにした。
「私達がいる場所は隠されています。来るにあたっては、申し訳ありませんが、目隠しして頂き拘束も願いたい……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます