第2話 〈真相世界〉

 次に目を開けた時、光り輝く黄金の光景が辺り一帯に広く存在していた。

 現実世界では絶対にありえない光景で宗次は理解した。


「これが〈真相世界〉……」


 辺り一面の黄金世界に宗次は一瞬見とれてしまったが、感心している場合ではなかった。

 早く魂を探さなければ。

 宗次の左隣にうっすらと人影が見えると同時に澄んだ声が言う。

 

「あの中央に見える白いものが見えるか?」

「! 荒哉!」


 宗次の左隣にいたのは背の高い若い青年だった。肩まで伸ばした金髪に明るい黄色の目、紺に近い青い着物は胸元がはだけていた。


「荒哉、その姿……」

「ここは魂の世界。つまり魂だけが存在できる世界だ。だから儂は本来の姿でここにおれる。そして中心に浮いているあの白いものがこの仏像の魂だ」


 荒哉が指す方向を目で追うと、そこにはぼんやりと白く光っているものがあった。

 宗次は目をこする。気のせいか、あの白く光るものに周囲から光が吸い寄せられているように見える。

 荒哉は言う。


「あの白い魂に光……たくさんの想い、仮に信仰としよう、あれが満杯になるまで集まると、魂はたくさんの信仰と結びつく。そして、辺りが光で覆われた時、暴走し覚醒者が力を振るう」

「MP《マジックポイント》みたいなものか」

「……よく分からんが、魂が信仰を溜めこみ覚醒者が力をつけるまで358秒かかるのだろう。それを過ぎればもう誰にも止められん。いいのか、早くしないといけないのでは?」


 その通りだ。もう時間がない。

 宗次は躊躇いなく大股で魂に向かって走る。

 宗次が豆粒くらいの大きさになるまで荒哉から遠ざかった時、荒哉は呟いた。


「はて、簡単にいくかのう……」

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