第4話 覚悟の接吻
声は語る。
大昔、1000年以上前に
その時の仏像はまだ普通の木材だった。だが、行曹の仏像にたくさんの願いや想いが集まると、仏像の魂はそれらを吸収し、次第に暴走する。
暴走した願いや想いを抱えた仏像は圧倒的な力で人類を滅ぼさんとする。
行曹が作った仏像はいつしか「覚醒者」と呼ばれ、その地や周辺に厄災をもたらした。
なぜか?
全ては人類を救うため、極楽浄土に送るためだ。
「行曹……覚醒者……」
要は、仏像……覚醒者による被害は行曹が起こしている、ということさ
「全ては……こいつが?」
行曹が母を殺した、全ての黒幕というのか。
情報が多すぎて宗次の頭はパンク寸前だった。
そんな状態にもかかわらず、声は続ける。
儂は人間が大嫌いだ。だがそれ以上に、行曹、覚醒者はもっと嫌いだ。お前からは覚醒者に対する激しい憎悪を肌で感じたぞ。儂には肉体はないが分かる……取引しないか?
「取引?」
儂の炎は覚醒者を滅ぼすことができる。封印さえ解いてくれれば、力を貸そう
「あいつらを、壊せるのか?」
条件がある。それを呑むだけで良い
思いもがけない言葉だったが、宗次は即答した。
「条件は何でも呑む。くれ!」
よく分からない奴だが、奴の力で仏像、否、覚醒者を壊せるならそれでいい。
利害は一致した。一緒に覚醒者を滅ぼそう。その肉体を貸せ
「肉体?」
儂は封印されている身でな、今は力どころか、この地に縛り付けられて動けない。そこで、お前に頼みだ。この封印を解いてほしい
「どうすればいい?」
話が早くて助かる。簡単なことだ。地面に接吻してくれ
聞くと同時に、宗次は児童公園に這いつくばり、地面に口をつけていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます