封じられた草むしり執筆法~だが代替えを見つけ立ち上がる俺~

 私はどちらかというと環境の変化を嫌う人間だ。毎日ひたすら同じことが繰り返され、同じことが同じ時間に起こり続ければいいと思う。


 にも関わらず、サナギが蝶になるような飛躍を夢見ている。


 端的に言おう。環境の変化が嫌いなのに、今年私は、自分の意思で転職と引っ越しをしたのだ。

 なんなら実家暮らしだったところから初めての一人暮らしである。

 環境の変化嫌い言うとったがな、と私の脳内の芸人が一斉にひな壇から転がり落ちている。


 なおこの『不動産業者と色々あって、ガチでベッド一つしかない部屋から新しい職場で新生活を始め、休日を棚作りで終わらせた数週間』についてはまたどこかで書く機会があれば、と思っているが。


 主題はそこではない。


 草むしりができなくなったのだ。


 「え、草むしりできなくなったから何?」

と思われた方は、このエッセイの一つ前の「草むしり執筆法」を読んでいただきたい。

 めちゃくちゃ身も蓋もないこと言うと、「」という執筆法である。


 この執筆法には絶対条件がある。


 である。

 

 しかも草むしり執筆法は、

・適度に身体を動かす

・動かした成果が目に見えて結果に出る

この二つの充実が必要なのだ。


 さてつまり。

 実家からマンションに引っ越した結果、私はいざ1日に大量に文字を打つときのための必勝法、草むしり執筆法を失ってしまったのである。


 だが。

 人間とは環境にあわせ、成長し変化する生き物である。


 私は、「草むしり執筆法」に変わる代替え案を思いついたのである。


 それが、「」である。


 字面だけパッと見ると、0.001秒ぐらいはめちゃくちゃかっこいい必殺技に見えなくも無い。なんかカンフー的な。


 この換気扇掃除執筆法について、手順を説明しよう。


 1.執筆をする。

 2.換気扇を念入りに掃除する。

 3.執筆に戻る。


 以上である。なんと簡単なのだろう。余談だがご家庭でお使いの換気扇の掃除方法については、各々の取扱説明書に従ってほしい。


 これを思いついたのは、偶然であった。

「あー、そろそろ換気扇掃除しなきゃなー」

という天からの啓示が、運命を呼び寄せたのである。


 *効果に個人差はあります、という注釈を画面の左下に表示しながらも、これもまた効果は絶大だった。


 あんなに行き詰まっていた小説の展開が、するするっと淀みなく進んだのである!


 諸君、草むしりが封じられようとも。

 我々には、換気扇があるのだ。


 だがさらなる課題もある。

 うちの換気扇、掃除は月1回でいいらしいのである! つまりこの執筆法、ぶっちゃけ月1しか使えない!


 だがしかし! 仮に換気扇が封じられたとて。


 我々には、玄関掃除があるのだ。

 その後ろにはレシート整理が。

 その後ろにはお風呂のカビ掃除が。


 この世に「あーそろそろアレなんとかしなきゃなー」がある限り、私の執筆は淀みなく進むのである!


 *効果には個人差があります

 

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