第4話 図書室の子とハグ

 図書室の子をからかった日の放課後、廊下を歩いていると隣のクラスにその子がいるのを見つけた。


「「あっ」」


 目が合いお互いの間に微妙な空気が流れる。


「あのー」


 近づいて声をかけようとすると逃げ出したので、急いでその子の手を掴む。


「ちょっと待って」


「なんですか...?」


「今日のこと謝りたくて」


「それなら私のほうがっ...!」


 こちらに振り向きながら声を少し荒げる。


「いや、元はと言えば俺が誘うような真似したから」


「自覚、あったんですね」


「まあ、うん」


 罪悪感がとてつもなく頰をぽりぽりとかく。


「あんな誘惑しといて、謝りたい...ですか」


「ほんとにごめん...!なんか俺にできることがあれば聞くしなんでも」


「なんでも...そもそもなんであんなことしたんですか?」


「ちょっとしたイタズラ心っていうかなんていうか」


 からかっただけです。


「イタズラって...誰にでもこんなことしてるんですか?」


「誰にでもじゃないよ、可愛い子がいたから」


「かわっ、そういえばなんでもすると言ってましたよね、んっ」


 そう言いながら両手を広げ迎え入れる姿勢をとる図書室の子。


「これはいったい?」


「何でもするんですよね、ギュッてしてください、ほら早く」


 とりあえず言われるがまま、その胸に体を預けるといい匂いとふにゅりとした感触が伝わってきた。


 向こうも俺の体を堪能するかのように体をピタリと合わせてくる、さらに力を入れて抱き寄せられる。


「よし、満足です」


 しばらく無言で抱き合ったあと突然口を開く。


「じゃあ私今からしたいことがありますから」


 いきなりそう言い、去ろうとしだす。


「これもイタズラです」


 去り際にお尻を触られニヤリと笑われる。その子はそう残しこの場をさっていった。


「すごかった...」


 俺は1人そう呟いたのだった。

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