最後の戦い
「仕方がありませんね」
そう行曹は残念そうにつぶやいた。すると行曹は仏像を胸元から取り出し、自分の体内に押し込んだ。すると全国各地から魂のような、人の思いのようなものが集まってきて行曹に吸収されていった。
「これが私の信仰の力。私は人々の願いが集まればとてつもない力になるとわかって『覚醒者』として日本全国の『極楽浄土』へと行きたい人々の思いを仏像に宿させた。あなたはとてもお強いようだ。私も最大の敬意を払って極楽へと行く人々の手土産としてあなたに私の全力をお見せしよう」
すると行曹は光り輝き、金色となった。そしておでこには点のようなものが現れた。
「おお、まさしくこれが信仰の、仏教の力。私はこの
「そんなことはさせない!うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
「ハハハ!小僧行くぞ!」
俺達は一生懸命に戦った。行曹の仏像の剣と俺の金棒と光の剣がぶつかり合い、火花をちらした。行曹は他にも高密度の光線を飛ばして攻撃をしてきた。これは天照大神の加護があっても防ぎ切ることが出来なくてダメージを受けた。
「うっ、ここで負けるわけには行かない!」
俺は向かっていったが、それでも行曹は強かった。
「ハハハ!我が力を使い切るのだ!」
そう鬼神が俺の心のなかで叫ぶと、金棒が光の剣と合体して炎をまとい始めた。
「剣じゃなくて金棒が炎を纏うのか… いや良い。俺は負けるイメージはしていない!」
何事も想像できることは叶う。そう誰かが言っていたような気がした。
「人の想いの力はあなたには壊せない。あなたは私に勝つことは出来ないのだよ」
「嘘だ!お前を信じている人は確かにいる。でも『極楽浄土』なんか存在しない」
「だから言ったでしょう。この世界は苦痛に満ちている。その事実があるから人々は『極楽浄土』に救いを求めるのですよ」
「その人達はかわいそうな人達だ。この世界も捨てたもんじゃない。生きてさえ居ればいつかは必ず世界は良くなる」
「いつかとはいつのことですか?10年、100年、1000年、私が志半ばで封印されてから早くも1234年。この世界は変わっていないのですよ。私は封印されながらも力のない状態で世界を見てきました。戦争に災害、疫病。世界はちっとも変わらない。貧しい人々が裕福な人々に虐げられている世界。やはりこの世界には救いが必要だ」
「救いなんていらない!」
「それはあなたのことだけですよね」
「違う!俺達は頑張ってこの世界で生きていた。いつかは幸せが訪れると思って。日々の小さな幸せを探して生きていた!みんなそうだ。だからみんな何かを信じて生きるようになった。この世界は捨てたもんじゃないって思えるように。なのに…なのに… お前はお母さんを、世界中の人々を殺した!死は救いじゃない。死は逃げているんだ!みんな最後には死が待っている。だから多少苦しくても頑張って生きている。多分『極楽浄土』を信じていた人々もそうだ。最後には幸せで楽な世界へ行けると信じたから、信じれたから頑張って生きようって思っていたんだ。それなのにお前は早く『極楽浄土』に人を送ろうとした!それは間違いだ!」
俺は想像をした。そして鬼神の力を全て使い、元の世界、苦痛の中に小さな幸せが沢山輝いている世界を想像した。すると金棒に沢山の想いのようなものが集まってきて大きくした。
「火神徹!お主、妾が富士の噴火を止めたぞ!思う存分にあやつを滅せよ!」
天照大神がやってきて俺のこころの中に入ってそういった。
「富士の噴火を止められましたか。やってくれましたね。日本最強の神。天照大神」
「お主なんかに滅ぼされては困るからのう。さあ行くのじゃ!」
「ハハハ!お前は一人じゃない!我らが付いている!」
俺は思いっきり金棒を行曹に向かって振り下ろした。
「ぅ゙っ」
行曹は俺の金棒に抗いながら俺と一緒に地面へと落ちていった。俺はありったけの力を振り絞ってそのまま行曹を地面へと叩きつけるようにして金棒を振り下ろした。
そして行曹が地面に叩きつけられるのと同時に追い打ちをかけるようにして更に最後の力を振り絞って金棒を振り下ろした。
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