行曹と鬼神
封印されている間に行曹は日本の『神』以外の宗教で信じられている神、すべてを味方に引き入れた。キリスト教、イスラム教、ユダヤ教の3つの宗教はどれもアブラハムの宗教として共通の起源を持ち、仏教はキリスト教と似たような言動、進行の仕方である。だからすんなりと仲間に入れた。そして世界各地で『覚醒者』がそれぞれの宗教の像に取り入って人々を極楽へ…天国へ送り、また他の宗教、ヒンドゥー教などは特に仏教と闘う必要がなかったのでこれも賛同した。
だから行曹は日本の『神』、神道をとても嫌っている。行曹は自分が生きている前の時代のことも、蘇我氏対物部氏のことも自分のことかのように真に受け、神道とは相容れない存在だと考えてしまっている。どこにでも信じる対象がいる『八百万の神』という考え方や、死んだ先の極楽などという考えがないことにとても敵対心を抱いている。
鬼神は国之常立神は神なので地獄とか、天国とか、極楽浄土とか、そういう考えはないはずだが、天探女に鬼呼ばわりされて封印されたときに、川原毛地獄という場所で、仏教の閻魔大王、地獄の神に鬼神として、矛盾を大いに抱えている存在として力を与えられ、本来の自分を忘れて存在していた。鬼神はまさに神道と仏教を渡す架け橋という存在となっていたのだ。
だから奈良から平安のはじめの方は行曹の事件以外、仏教と神道の間の抗争などはなくなり、平和な時代があったが、藤原道長に地獄を司るものとして、地獄に人を送る鬼として兜跋毘沙門天の力を使って封印されてしまっていたのだ。
それから鬼神は行曹のことを『極楽浄土』という考えを藤原道長に広めたものとして嫌っていたのだ。
実際に二人は直接面と向かってあったことはない。しかし、運命なのか、全ての出来事は必然的に二人を最後の決戦へと導いていたのだった。
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