鬼神の封印
「よし。ついでに鬼神となっている国之常立神の封印を完全に解いてやろうかのう。ほれ」
そう天照大神?卑弥呼の声が頭の中に響いた。
「鬼神の封印?」
俺が不思議に思っていると鬼神が出てきて、急に光り輝いた。それは禍々しくない、綺麗な光だった。暫く経つと光が収まり、封印が解かれた鬼神の姿が露わになった。
「そうだ! 思い出してきたぞ。我は国之常立神『国が永遠に存続することを見守る』神」
封印が解かれた鬼神は金色の龍の姿をしていた。
「りゅ…う!?」
「そうだ。
「ハハハ! 力が溢れてくるぞ!」
鬼神は金色の龍の姿になって辺りを駆け回った。しかも、精神体のようにオーラを纏って少し透けているのではなく、それはたしかに実体があった。
「小僧、我の本当の力を見せてやろう。
その時、曇りかけていた空が一瞬で晴れ、周囲の瓦礫が吹き飛び、植物たちが青々と茂りだした。そして、また鬼神が光りだしたかと思うと、あたりは温かい風に包まれて、目を開いてみると青の服に金の刺繍が施された綺麗な服を着ている、強そうな男がいた。
「もう、鬼でもなんでもない姿だな」
「ハハハ! これが本当の姿よ。 神としての姿。天照大神、またもや助けられた。さすが
「これも妾の役目の一つだ。 そうだ。お主にもわかりやすい力を与えようかのう」
そう言って俺の体の中から手が出てきて、俺に勾玉を渡した。それはとてもあたたかい光を放っている勾玉だった。
「それは妾が卑弥呼としてこの地で生きていたときに用いていた道具じゃ。それにはたくさんの願い、力が込められている。妾が
「天照大御神様、鬼神、そろそろ儂のことを忘れていないか?」
菅原道真が申し訳無さそうに言った。
「そうか。お主が国之常立神を連れてきてくれたのであったな。ご苦労であった」
何だか菅原道真が十分すごい雷様なのに国之常立神と天照大神を前にしていると大したことがないような気がしてしまった。菅原道真の後ろで風神雷神が申し訳無さそうにちょこんと居座っていた。
「天神様(菅原道真)、俺らは本当に下の位の神であるし、仏教の千手観音の眷属でもあるため、この地にいるのが惨めなので帰らせていただきます」
「おお。そう…か」
菅原道真も鬼神が国之常立神だとは知らなかったようで、この状況になっていることに戸惑っているようだ。
『本当はこの男児に天照大神様の力を授けてもらって、儂の知恵を与えたぞ! などといって感謝される展開になると思っていたのだが…』
とボソボソと言っているのが聞こえてきた。
「小僧! 力は戻った。 さあ、筑前国の仏像を滅するぞ!」
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