太宰府天満宮

「よし。倒した」


「じゃあ太宰府へと、天神様のところへと行くぞ」


「ちょ、ちょっと休ませてくれ」


「そうか。人間の体には神の力はやはり強すぎるか。 では休もう」


 そうして俺は危なく休息を失いそうになりながらも、少し外れにあった民家で寝かせてもらえた。


 翌朝5時。


「小僧起きろ。道真のところに行くぞ」


 そう言って叩き起こされ、太宰府へと向かうことになった。北九州から、大宰府は約75キロメートル、14時間くらいの道のりだった。しかし、昨日、筋斗雲?を作ったおかげで、それに乗って移動することができた。筋斗雲は時速50キロメートルくらいの速度で飛んだため、2時間位でつくことができた。


「やっと着いた…」


 歩かなくてもいいと言っても2時間ずっと時速50キロメートルで前から風が吹き付けるので、とても辛かった。まだ1月中盤の九州と言っても冷たい風が肌を刺した。


「学業の神様。 菅原道真。 太宰府天満宮」


 やっと着いた大宰府は、仏像がいる福岡が近いのにもかかわらず、何事も起こっていなかったのかのように整然と綺麗に佇んでいた。


「鬼神の拠り所よ。 こっちだ」


「鬼神の拠り所って俺のこと?」


「そうだ。 お前だ。 他に誰がいるんだ」


 確かに言われてみれば、太宰府は人っ子一人いなかった。 

といっても日本、いや世界虫どこを探しても、人間は臨時シェルターにしかいないだろう。そして風神雷神に従って連れて行かれると、着いた先は太宰府天満宮の本殿だった。


「中に入れ」


「お、お邪魔します」


 そうして中に入ると、そこには出会ったときの鬼神のような精神体がいた。


「お前が、風神雷神が申しておった鬼神の拠り所か。確かに和紙と同じ血の匂いがする」


「道真公と同じ血?」


「そうだ。儂ら菅原氏の前身は、天穂日命あめのほひの子孫で、野見宿禰のみのすくねを家祖とし、葬送を職掌としている土師氏はじしであった。天応元年(781年)に菅原古人ふるひとが改姓を申し出たことから菅原姓を名乗るようになったのだ。 そうして問題なのが、この天穂日命は問題の天照大神の第2子である。

ということは、天照大神の血を濃く持つお前と、最終的に天照大神の子孫である儂は同じ血筋ということになる」


「?????」


俺は話が壮大過ぎて何も理解できなかった。


「ハハハ! 小僧め。全く理解していないわ」


「そんな事言われたって…」


「まあよかろう。お前はここに儂の知恵を借りに来たのだろう!? 鬼神も、同じ藤原氏に恨みを持つものではないか。 天照の力をおしえてやろう」


「お主と同じにするでない」


「まあ、これからはこの菅原道真、学問の神。お主にを知恵を与える。 付いてこい」


そうして俺はまた言われるがままに菅原道真について行った。


 連れて行かれたのは秋月城跡だった。そこにつくのに約24キロメートル、筋斗雲に乗って30分の道のりだった。さすがは雷様。菅原道真も自分の雷雲を出し、進んでいった。


「なんでここに?」


「ここは昔、邪馬台国があった場所なのだ。 弥生時代、卑弥呼が猛威を振るっていた頃じゃな。昔々、藤原氏にここ、太宰府へ島流しにされた後、ある古い古文書を見つけてな。 そこにはほとんど読めなかったが、ここに邪馬台国があった、祖記されていたのだ。もちろん、生きている間は外に出れなかったから、邪馬台国だった場所へ行けずに死んでしまったが、神となってからまた調べてみるとたしかにここが邪馬台国だったのだ」


「邪馬台国…それと天照の何が関係しているんだ?」


「まあそう急くでない。この桜の木の根元を掘ってみよ。 だいぶ深くな」


 そう言われた俺は、鬼神の力を使って、スコップのようなものを作り出し、掘っていった。しばらくするとカンッとなにか、固いものにスコップの刃先があたった。


「なんだ?」


拾い上げてみたものはずっしりと重く、よく見てみると、


「親魏倭王…」


「そうだ。 卑弥呼の印だ。 これで邪馬台国がここであったと証明できたな。少しそれを貸してみよ」


精神体だから触れないだろうと思っていたが、普通に持っていた。


「よし。 卑弥呼様。お眠りからお目覚めください」


 といっていきなり金印に電気を流し始めた。しばらくすると何やら、これもまた精神体のようなものが出てきた。


「ううん。誰だ。妾を起こしたものは」


「これはとんだ失礼をしました。卑弥呼様」


道真は少し間を取った後、不気味に微笑んでこういった。


「いえ、天照大神様」

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