兄弟たち

 自分の家族はかなりの大家族だ。

 まずは父と僕。そこから自分には二人の弟と一人の妹がいる。

 これで五人家族、母が生きていれば六人家族だ。この少子高齢化の時代でこれは大家族であると言えるだろう……まぁ、陰陽師とかだとこれくらいが普通なんだけどね。

 今も陰陽師はじわじわと人口を伸ばしている。

 このまま一般層の方が少子化していくならば、いつか人口逆転現象が起こる……かもしれない。

 まぁ、その前に陰陽師が現代の文明を浴びて少子化するだろうけど。

 

「有馬にぃ!!!久しぶりぃ!」


 なんてことを考えている自分の方へと抱き着きに来た少女、自分の妹が僕の頬に全力で己の頬でこすり合わせてくる。

 まぁ、見ての通り。

 久しぶりに会う兄へと感極まって抱き着き、そのままほっぺすりすりしてくる具合には兄妹しての仲は良い。

 それに、妹ほど愛情表現は激しくわかりやすくないが、しっかりと弟の二人も僕を慕ってくれている。

 と、思うと我の家族関係って本当に父だけが邪魔やな。


「久しぶりぃ!有馬にぃ」


「うん、久しぶりだね。咲良」


 僕は自分へと抱き着いてくる自分の妹、咲良をやんわりと引き剥がしながらあいさつの言葉を返す。


「久しぶりに会えてうれしいよ、有馬にぃ」


「うん。僕もうれしいよ」


「ほんとっ!?それなら良かった」


「妹と会ってうれしくない兄などいないさ」


「だよねぇー」


 普通の兄妹はこんなに仲良くないけどね。

 まぁ、向こうが愛情をもって接してくれている以上、それ相応のものは返すべきだろう。


「ところでさ……あの婚約者は何?」


「ん?聞いての通りの婚約者だよ?婿入りしない?って向こうの家からも言われているんよねぇー。どうしようかねぇ?」


「はふっ……婿」


 神楽との関係性は一つの悩みの種だ。

 彼女が結構わかりやすい行為を自分へと見せてくれる以上、答えを男としてしっかりと出す必要があるもんねぇー。どうしようかねぇ。

 僕は妹を隣にしながら、神楽との内容について頭を悩ませるのだった。

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