対岸の火事?
僕の配信がもたらした影響……それらはほとんど、自分に影響をもたらすことはないと思っていたのだが。
「大丈夫だったの……?苦労したんだね」
「俺の家の方もあんなんだからな、本当に、あの時に語っていたことは全部本当なんだろう?」
「何かあったらいくらでも私たちを頼ってね!」
陽校の方ではしっかりと影響が出ていた。
周りから信じられないほどの心配と同情を集めたのだ。
「いや……別に大丈夫だから。そんなに僕は気にしていないから……うん、うん、ありがとう。本当に、大丈夫。大丈夫ったら大丈夫だから」
それらを前に僕は結構困惑しながら、それらの声を遠ざけていく。
「はぁー」
ヤバい、ちょっと面倒。
せっせと自分に声をかけてくる面々の相手をするの。
苦労感を抱かざるを得ない僕は全員から逃げるようにしてクラスの端の方へと逃げていく。
「その、大丈夫?」
「んっ?」
そんな僕へといつもより少し遅く登校してきたこともあってさっきまでの騒々しさを知らない佐藤さんが近づいてくる。
「配信について。私も有馬くんの配信を見たんだけど……」
そんな彼女が告げるのは僕の配信についての話だった。
「……佐藤さん、お前もか」
「えっ?」
「いや、なんでもないよ」
僕はそっと佐藤さんから視線を外して答える。
「それで?大丈夫か、どうか……だったよね?それじゃあ、君の前にいるのは色々と虐待されて育った今の子供だけど」
「……うん」
「別に、僕が問題あるように見える?」
「……せ、性格はちょっとだけ」
「……おっと」
待って?佐藤さんから性格に問題があるだなんて言われるとは思っていなかったんだけど?
「まぁ、でも……それは生まれながら、みたいなところがありそうだよね」
「……いや、それを認めるのは中々に癪なことなのだが、それと一緒に僕がどんなことをされようとも平然としていられるのは生まれながらのものであるようなところがあるから気にしなくていいんだよ」
「そう?」
「うん、そう」
マジでそうだ。
余計なことで心配されても煩わしいばかり……そう思う僕は切実な形で佐藤さんへと告げるのだった。
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