呼び出し

 暴露話から自分に関する話題に。

 そして、その後は神楽との二人での配信に。

 散々とぐぅたら話した次の日。


「わかってるやんな?」


 僕は早速とばかりに陰陽頭から呼び出しを受けていた。


「……何のことでしょうか?」


 僕は陰陽頭の言葉に最初はすっとぼけて答えてみせる。


「めっちゃ内情暴露したわな?各国政府から問い合わせが集中してるんやけど」


「んっ?別に問題ない範囲内でしょ?」


「そやけどね」


 僕の言葉に陰陽頭は気軽に頷く。


「そやけど、一番ヤバイの漏らしたのうちらのやんな?陰陽師関連流し過ぎとちがう?信じられへん流してるやんな?酷ないんやろか?」


「まぁ……だよねー」


 僕でもわかるくらいにはヤバいことを流し続けた。

 

「でも、特に問題ないでしょ?」


「……」


「たかが出来て百年足らずの政府や警察権力、自衛隊如きの圧力に屈するほど軟弱ではないだろう?」


「そやけどね」


 僕の言葉に陰陽頭は平然と頷く。

 たとえ、どれだけ陰陽師があくどいことをしていようと、国がどうこう出来たりはしない。

 罪というのは所詮、社会秩序を守るための道具にすぎず、また、社会秩序を維持するために必要なものは結局のところ武力に他ならない。

 アメリカのようなガチガチの軍隊ならいざ知れず、まともに動ける態勢でもない自衛隊如きが相手に出来るほど千年の歴史を持つ陰陽寮は甘くない。

 陰陽寮以上の軍事力を持たぬ日本政府は何処まで行っても陰陽師の犯罪行為を取り締まることは出来ないのだ。

 普通に陰陽師たちは独自の法を持ち、独自で裁いているからね。普通に治外法権よ。


「別にやろう思たら反乱とて起こせるやろからなぁ」


「まぁ、そうしたら僕と早紀が反旗を翻すよ。困るもん、陰陽師の天下になられても。んで、僕が反旗を翻すなら早紀もついてくるさ。あいつは僕を本当に殺されなきゃいけない立場に立つことはないよ」


「……なら、無理やね」


「だよね。じゃあ、問題ないこともわかったし、僕は帰っていいかな?」


 問題はすべて済んだ。

 そう判断した僕は颯爽と帰る気を見せるのだが。


「駄目よ」


 普通に陰陽頭の方からまだ駄目との言葉をいただくのだった。

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