自分のこと

 僕の配信は常にレッドラインを超えた先で優雅にタップダンスをしているかの如くであった。

 陰陽師と政府の癒着、両大戦における陰陽師並びに各国の対怪魔組織の協力関係の維持について、天皇家の意味、海の民の時代に何があったのか、空白の四世紀に何があったのか。

 もうありとあらゆる各政府の裏の繋がりから歴史の秘密まで。

 すべてをべらべらと喋り続けた。

 

 コメント

 ・ねぇ、無理はしないでいいんだよ?

 ・誰が思ったでしょう……ここまですべてを本気で喋るとは。

 ・ネットで騒いでいたアンチもドン引きし始めているよ……。

 ・マジで大丈夫なの?消されない?

 ・喋りすぎだよ。


 その結果。

 もはや、これを聞いている視聴者の方がドン引き、本気で僕の心配をしている有様である。


「いいじゃん、いいじゃん!そっちの方がみんな好きだろう?」


 だが、それらを前にしてもそのすべてを僕は鼻で笑い飛ばす。

 僕を殺せるのは早紀だけで、早紀は天衣無縫。すべてにおいて型破りな彼女は僕の暗殺命令が出ても平然とそれらを無視するであろう。

 そんな奴だ。

 あれは僕が死んでもさして悲しまないだろうが、それでも自ら花を踏みつぶしたりなんぞはしない。


「いやー、マジで話しきったな!」


 ガッツリ話し切った。

 もう話すところなんてないほどだと思う。


「んじゃ、次はちらほら聞いていた僕自身の質問にでも答えていくかな?」


 僕はこれまであえて避けていた自分に関する質問を表示させる。


「好きな食べ物は何ですかぁー?万物を僕は食すよ。趣味は何ですか?人間観察。自分の天職は何だと思いますか?王。今まで苦労したことはありますか?勝ちたい相手に勝てないこと。将来は何になりたいですか?多くの人々と共に平和な生活を送れるのが理想だな」

  

 僕はどんどんとテンポよく自分に関する質問をさばいていく。


「恋人はいますかー?だけど、普通に僕は婚約者がいるよ。まぁ、割と最近だけど。僕は既に婚約者と同棲状態だよ」


 コメント

 ・えっ……?

 ・おっとぉ?

 ・何それ、うらやま。

 ・ん?

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