強さ
蹴りの一つで結界を破壊してみせた僕という存在。
「……すごっ」
それを前にあまりこの事態の凄さを理解できていない佐藤さん以外の多くは驚愕で固まっていた。
自分で言うのも何だし……認めるのも癪だが、本当に早紀が作るあの結界は本当に最強の防御力を持っており、破れるものはほぼいない。今のところ、僕は自分以外で一人くらいしか知らない。
本当に忌々しい話だが……早紀の結界を傷つけることが出来る。
これが強さの指標となるのだ。
「有馬だから。これくらいは当然」
「……お前に言われても嬉しくないよ」
人生で1度たりとも勝てたことの無い相手から言われても皮肉にしかならない。
「もしかして、有馬くんってあの観勒さんと戦えたりするの……?」
そんな中で、委員長が体を震わせながら疑問の声を上げる。
「もちろん。有馬だからね」
「うるせぇ、一回でも僕に負けてからほざけ」
本当に皮肉としかならん。
自分に勝てなくて当然であり、善戦出来るだけで凄いのだというそのスタンスが気にくわない。
「それでも、戦えはする。ちゃんと時間も一分以内じゃないよ」
「……それが出てくるお前はやっぱ異次元だろっ」
「有馬だって、私相手じゃないと割とそうじゃない」
「いや、そうだけど」
基本的に僕も苦戦することはないが……まぁ、僕は良いのだ。僕は。
だって、僕だから。
「私は君とはちゃんと戦いになるから……楽しいよ」
「ちっ」
娯楽扱いとは……どこまでも舐められている。
こっちは本気で殺しにいこうとしているというのに。
「ふむ。ちょうど良いのだし、そこの二人で模擬戦でもしてみたらどうだ?未だに実力への疑いが根強いが、こうしてみて確かな強さを感じられる有馬と、誰もが認める最強である早紀。その二人の模擬戦と言うのはかなり見ごたえがあると共に、皆へと良い影響を与えてくれると思う」
そんな感じで僕と早紀が会話していた中、教卓の前に置かれている椅子へと腰かけて話を静かに聞いていたうちのクラスの担任が声を上げる。
その口から語られるのは模擬戦の提案だった。
「「……っ!?」」
「そう私は思っており、君たちが模擬戦するさまをみんなに見せたいと思っているわけだが……どうだろうか?二人は戦ってくれるだろ」
「やろうか」
自分の目の前に早紀と戦うチャンスが舞い降りてきて、それから逃れるなど許されるだろうか?否、許されるはずがない。少なくとも、己は生涯に渡って許さぬであろう。
僕は一切迷うことなく、担任の先生の言葉に食い気味となりながら殺意をあらわにするのだった。
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