居候
神楽と穏やかな日常が携えている僕の家であるマンションの一室。
実家から追い出されたタイミングでコツコツ貯めていたお金を利用して借りだし、今では政府からもらったお金でマンションの一棟ごと買ってしまったここに。
「……何でお前がいるの?」
一人の異物が存在していた。
「ん?私はいるよ」
その異物。
それはさも当然のような面をして居座っている早紀であった。
「いや、寮に帰れよ」
早紀は今、僕も滞在することになっている寮の一室で生活しているはずである。
「大丈夫。寮の一室には私の術式で作ったダミーがあるから」
「そういうことじゃないんだよ」
「いいじゃない。一人居候がいるくらい。幼馴染なんでしょー?もっと寛容にいこうよぉ」
は?僕の人生の目標は早紀を超えることなんだが?
宿敵と同棲する奴が一体どこにいるんだよ、ボケェ。
「どうせ私の分も一緒に作るんだしさ。料理の手間が二人から三人になることくらい訳ないでしょう?」
「それは作る側のセリフであって、作ってもらえる側のセリフなんよ」
「有馬の料理、楽しみ」
「さも、当たり前のようにお前も食べる気でいるなよ」
毒でももってやろうか……?いや、あれに毒なんてちんけなものは効かないだろうな。
効いたとしてはすぐに無効化されるのがオチだろう。
「えー、作ってあげてよぉ」
「その通り。私も食べる」
「はぁー」
僕はため息を吐きながらパスタを三束手に取る。
ここで押しに負けることが多々あるから僕はちょっと駄目なんだろうな。
「なんで僕が早紀と暮らしてやらなきゃいけないんだ」
僕はぶさくさと文句を言いながらパスタをゆで始める。
「いいじゃない。それくらい。どうせこの家はかなり広くて余裕あるんだから。早紀ちゃんが寝るための部屋もあるし、その他も別に問題となるようなことはないでしょう?」
「だぁー、そういうことじゃないんだよっ!」
僕はソファへと呑気にねっ転がりながら告げる神楽の言葉に文句を告げる。
あいつは雑にも程があるでしょっ!
「有馬の手料理楽しみ」
「おめーはぶれねぇな、おいっ!?」
僕は早紀の態度に文句を告げながらパスタを早々に引き上げ、今度はパスタをゆでながら併用して作っていたスープの方へと移すのだった……三人なったせいでフライパンの大きさがぁ。
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