陰陽頭
いい年のはずなのに、バッチリと制服を着ている陰陽頭。
そんな彼女に呆れている僕は、一人。その陰陽頭の指示で周りの面々から少し離れた位置に立っていた。
「……制服、制服ねぇ?年は一体いくつなのか」
「そないなこと言わんでちょうだい?うちはいつだって若いつもりなんやさかい」
「ハッ」
そこで僕は陰陽頭と二人で話し込んでいた。
「もぉー、その笑い癪に障るわぁ……そらそれとして、ちょい本題に入らしてもらうなぁ?」
「どうぞ」
「ありがとう。貴方、自分を冷遇し、追放した一条家に対してなんか恨みを持ち、それ理由に復讐しようとしたりしてるいないかしら?」
「別に?さしたる興味はない。僕の父が何をどうしようともこれっぽちの興味もないよ」
僕は陰陽頭の疑問の言葉を否定し、陰陽頭の言葉に素直な気持ちを告げる。
これは純度まじりっけの僕の本音である……物語とかであれば、ここでちょっくら復讐に動くのかもしれないが、そんな面倒する気は僕になかった。
「うちは腐っても名家で、保有している戦力も莫大。ダンジョン周りで脅威度が上がっている対怪魔のことを考えれば、今ここで一条家がつぶれるのは困るでしょう?」
「せやねぇ、めっちゃ困るさかい今、君に復讐の意思があるかどうかを聞いてるみたいなところがあるね」
「でしょう?なら、別に僕は復讐に走ったりしないよ。する必要性も特にないし」
僕の父とて、色々と苦労しているところがあるのだろう。
愛する妻を早々に失っているし……まぁ、割と同情の余地もない外道な気がするけど、それもまた人類だよね。
基本的に人類loveな僕は外道と言える父でさえ愛してみせよう。
「それに、僕が何もせずとも、あのままのスタイルを貫くのであればいずれ痛い目にもあうでしょ」
「……せやねぇ。あの子の小さな頃も知っとぅうちとしては複雑やけど」
相も変わらず人間だとは思えないことを……本当に、この陰陽頭って何者なんだ?
ちょっと普通に怪異じゃないかと疑っているんだけど……まぁ、今の陰陽界の中心から陰陽頭は外せないので、彼女に対して何か出来るわけもないけど。
「それで話は戻るけど……我慢させてかんにんねぇ?いつも、うちは君の寛大さに甘えてまう。いつも、苦労させてかんにんえ。まだ、高校生やちゅうのに」
「別にいいさ。僕は己として、正しきことをしているまでよ。例え、己が幾つだろうと変わりはせん」
自分へとお礼の言葉を告げる陰陽頭に対し、僕は寛大な態度でうなづくのだった。
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