陰陽専修学校
突如として持ち上がってきた一般高校から陰陽師たちの高校への留学話。
その話が向けられたのは何も僕たちの高校だけではなく、全国の結構なところに声がかけられており、陰陽師たちを教育する機関である陰陽専修学校。通称、陽専にやってきたのは百名近くにも膨れ上がっていた。
「……うわぁ」
また、そんな百名近くの人間を陰陽師たちが生活する宮廷陰陽殿へと招待するのも異様に早かった。
話が持ち上がった一週間後にはもう僕たちは宮廷陰陽殿へとやってきたのだ。
「すっごい」
宮廷陰陽殿へとやってきた生徒たち。
彼らは目の前に存在している巨大な和風建築を前に驚きをあらわにした。
そして、それは僕の隣にいる佐藤さんも同じだった。
「……僕としては君たちが生活している日本の風景の方が凄かったけどね」
陰陽師たちは結構、宮廷陰陽殿に引きこもってばかりで、外に出ることはあまりない。
かくいう僕も初めて外に出たのが小学生くらいの頃だった。
あの時は何かにあまり感動とかすることのない僕も感動したなぁ……人類があれだけ大きなものを建て、多くの便利道具を駆使して営みを送っている。
その衝撃は僕の中でかなり大きかった。
「えぇ?何でぇ?なんか浮いている建築とかあるし……なんか、こう、すっごいファンタジーの奇跡!っていうのを感じられるし、全然私たちが生活しているところよりもすごくない?」
「僕からしてみたら、何の力も持っていない連中があれだけの殺傷力を持った塊に乗って何十キロという速度を出しているのに驚いたし、大量の人間を乗せた鉄の塊が空に浮いている、ってのは何よりもファンタジーに移ったよ。十分に発達した科学は魔法と見分けがつかないとはよく言ったものだよね、って思うな」
空を飛ぶとか基本的に僕も出来ないし……宙を蹴れば何とか、いや。それでも空に留まり続けるとかは無理だろうな。
それにそもそもとして人類が作り出している水爆とか本当にすごいよね。
あれ一つでほとんどの陰陽師を超えるでしょ。
「ようこそ、お越しくださいました」
僕が佐藤さんと会話し、周りの生徒たちが今の光景を見て喜びの声を上げている中。
急に自分たちの前の空間が歪みだし、そのまま数十名の制服を着た子供たち。
陰陽専修学校の生徒たちが僕たちの前へと姿を現す……あれだけの人数を一度に転移させた?そんな逸材が学校レベルにもういるの、か……って、なんか変な奴が混ざっているやん。
「……何しているんですか?陰陽頭」
自分たちの前に現れた学生たちの集団の中、いい歳のくせに制服をバッチリと着こなして笑っている陰陽頭を見つけた僕は困惑の声を漏らすのだった。
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