この場で勃発した僕と怪魔の王の殴りあい。


「かっかっか!重い!痛いなっ!呪力がないことにまず驚かされたのだが、まさかここまでの攻撃能力も有しているとはっ!これは少しばかり想定外だったわっ!危険なのはそちらの女であったと思っていたのだけどな……ここまでの脅威とは思わなんだ」


「それはどうも」


 僕の一撃が反応の遅れている怪魔の王を確実に打ちぬいてその体に大きな傷を作り出す。


「……むぅ、痛いな」


 そして、それに対して怪魔の王はあっさりとその体を再生させることで僕の攻撃をなかったことにしてくる。


「……ふぅー」


 怪魔の王よりも僕の方がはるかに攻撃力も、防御力も、そのすべてのパロメーターが高い。

 だが、怪魔の王はどれだけ攻撃を食らっても無限の再生力でもってこちらへと対抗してきた。


「んっ」


 それでも僕は止まらない。

 一秒に五発。

 一秒に十発。

 一秒に百発。

 決して止まることのない連撃を容赦なく怪魔の王へ浴びせ、その体のほとんどを消滅させてみせる。


「かっかっか!これは普通であれば全然死ねるなっ!あまりにも早すぎるだろうっ───ぬぅん!」


 だが、それでも体を再生してきた怪魔の王。

 それが僕に向かって振るう横降りの拳を僕は軽く片手で消滅させて反撃の態勢に入る。


「……本当に肉弾戦は怪物の域ぞ」


「ありがとう」


 僕は怪魔の王の体を消滅させながら答える。


「ねぇ、有馬」


 そんな戦いを演じている僕へとこの様子を傍で眺めていた早紀がこちらへと声をかけてくる。


「貴方、もうそれの倒し方はわかったかしら?」

 

 そして、彼女が告げてくるのは余計なおせっかいであった。


「……わかっている」


 そんな彼女の言葉に僕は眉をひそめながら答える。

 言われるまでもなくわかっている……何となくで倒し方は察した。


「……ほう?」


「ただ、呪力のない僕には結構面倒」


 僕は早紀の方には視線を一切向けることなく答える。


「行けるかしら?貴方一人で。手を貸そうか?」


「要らん」


 僕は早紀の言葉を一蹴する。

 彼女の力なんぞ絶対に借りたくはない。


「ほほぅ!我の性質を理解しながら呪力無しのお前が更に行くか!良かろうではないかっ!」


「……ほざいていろ」


 僕と怪魔の王との戦いは更なるところへと進んでいくのだった。

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