異変
佐藤さんがナメクジを前に右往左往し、実は倒さなくてよかったと知って憤慨したりと。
まぁ、色々と大変なこともあったが、配信自体は順調に進んでいた。
「ダンジョン三階層になると罠とかが出てくるようになるから、かなり注意してね」
「なるほど……罠ね」
「そうそう、罠罠……まぁ、三階層で罠に当たることはほとんどないけど」
「えっ?そうなの?三階層では罠が危険って!良く聞くんだけど……」
「うん、そうなの。フラワーの言っている通り、なんかよく、色々な媒体で三階層は罠が出るようになるから危険!って言っているのを聞くけど、実態としてはそんなことないよ。まず、これまで見てもらった通りにダンジョンは一階層、一階層が馬鹿みたいに広いんだよね。」
世界中の人間が様々な入り口を通ってやってくるのがダンジョンなのである。
世界という広い範囲の人間を受け入れるダンジョンの一階層は馬鹿みたいに広い。
「だから、基本的にまず罠にぶち当たることがないね。別に三階層に限らず、罠の絶対数って少ないから」
「そうなの?」
「うん、そう。三階層で罠にかかる人とかほとんどいないんじゃないかぁ。あと、致死性の罠もないね」
「あっ!死なないんだ!」
「そう。致死性の罠はないよ。だから、そこまで二階層と三階層で難易度は変わらない。でも、報酬の面では明らかに三階層で跳ねあがるからね。二階層に行けるだけの実力があるなら三階層に行くことをお勧めするよ」
「ほー、なるほど。そうなんだね」
「そうなの……ただ、三階層で警戒しないといけないこともあるんだよね。魔物ってなにも馬鹿じゃないから。彼らも普通に罠を利用してくるんだよね。例えば三階層の代表的な罠は1mほどの小さな落とし穴を利用してくるなんてことがある。穴に落ちたところをリンチしてくるよ、奴らは」
「う、うわぁ……それは、死んじゃいますね」
「そう。三階層では別に死ねる状況も増えてくる。ただし、あくまで死ねる状況が増えるってだけだけどね。注意していればそこまで問題でもない。ということで、これから注意の仕方だったり、罠への対処法だったりを教えていこうか。本当に二階層と三階層で報酬のうま味が違うから、初心者には三階層で戦えるようになってほしいだよね」
「わかりました!」
「よし、それじゃ───」
自分の言葉へと元気に佐藤さんが頷いたのを確認した僕が意気揚々と動き出そうとしたところで、何かを、この場の小さな異変を感じてその動きを止めるのだった。
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