幼馴染
陰陽師たちが使う陰陽術。
それは体系化された一つの秘術となっているわけではない。
呪力によって個々人で生み出された固有術式。それを用いることで陰陽術を使うのだ。
人それぞれの固有術式を基礎として発動される陰陽術は当然、千差万別であり、発動された陰陽術を見れば、それが誰の使ったものなのかは一目瞭然である。
「……まさか」
このまばゆい光は。
「霆「縺吶i隱ュ繧薙〒縺?◆繧画凾髢薙′貅カ縺代◆」
「譖ク邀榊喧縺励◆縺?↑縺」
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今、まさに自分を遠巻きに見ていた怪魔たちを一切の抵抗も許さず貫いてその存在を抹消されているこの圧倒的な力、この陰陽術は───ッ!
「は、ははは」
自分しか訪れないと思っていた52階層に開けられた封印の穴。
そこに駆け付けたきた陰陽師。
その正体を悟った僕は口から笑い声を漏らす。
「っとと」
それと共に、ついさっきまで大量の怪魔たちが蠢いていた場所に一人の少女が突然舞い降りる。
「……弥勒、早紀」
さっきまでいなかったはずの少女がいきなりこの場に現れた。
不可解な現象であるが、その訳など相手が観勒早紀だから、この一言で十分だろう。
「観勒、早紀ぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!!」
僕は笑みと共に叫び声を上げる。
「んっ?」
そんな僕の叫び声へと反応して、この場に舞い降りた少女は、観勒早紀はこちらの方へと視線を送ってくる。
「……っ、有馬」
肩の高さに揃えられた紫がかった黒髪を揺らし、すべての光を吸い込んでしまいそうなほど鮮やかに輝く黒色の瞳を向けてくる少女。
その少女こそが弥勒早紀。
「はっはっはっはっはっ!」
そして、僕が生まれた時からずっと一緒で育ってきた幼馴染であった。
「ぶったぉれろぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
自分の前に観勒早紀が居て、僕たち以外に誰もいない。
まさに完ぺきに近い状況。
それを前にして、僕が動くなというのは土台無理な話である。
「あっはっはっはっはっはっ!」
考えるよりも体が先に動いた。
僕は一切迷うことなく地面を蹴ると共に拳を握り固め、早紀の顔面を狙って腰をひねって渾身の一発を入れようとする。
「……久しぶりなのに」
「ぶぺっ!?」
まぁ、何も出来ずに彼女の頬を殴り飛ばせる寸前だった僕は何か、理解できない衝撃を食らって観勒早紀の前で地べたを這うのであるが。
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