紅き神託

「レベルオーバー100と対峙したわけだがその場で単独で最も貢献したのはタマモ隊員だ。今回これを経験して感じた事を糧にしてほしいと思う。」

「はい」

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「それじゃあもう基本も終えて心と体はできたから次は技術をつけていく。ただ基本をおろそかにしたらまたはじめからな。」

そうしてこの一週間が始まった。

「走り方だ。不意打ちでも何でも勝てばいいんだ。出来るだけ早く武器を持てる体制を保ちつつ速度もある程度必要。追加で体力温存だ。これが最初から出来るわけないのは知っている。だからまず手本を研究しろ。」

「了解」

そう言うと歩くのに近いような。姿勢で前進するその後速度が安定すると前傾姿勢になり、全力疾走並みの速度で駆け抜ける。

「わかったか。取り敢えずやってみろ。そこから極めていく。」

言われた通りに取り敢えずやってみた。これが以外と難しい。

「基礎的だが初めてにしては上出来だ。これからは数をこなせば十分だろう。それから次は剣術。剣術を基礎とした鎌術を身に付けてから応用で我流にいってもらうかな。てことで剣術。まあ持ち方は分かってるよな。」

「もちろん。」

「正解だ。まあ同じ道場だし師範一緒だし。」

「そうなんですか。」

「壁掛けに書いてあるからある程度認識はされていただろうな。まあいい木刀で模擬戦しようか。」

「わかりました。」

「ここで俺に勝てたら鎌術にすぐ取り組む。ここで負ければ計画通りやってもらう。てことで審判をするのはこの組織のランキング1位に来てもらいました。」

「この前ぶりだなタマモ隊員シンコです。よろしく」

驚いた。師範だった。

「それじゃあ準備はいいか。始め。」

テンコが飛び出す。それを何とか受け止める。重かった。真剣いやもっとだった。軽めの金砕棒やロングソードを受けたみたいに。

「これが静風幻狐流の基本だだ。実際はもっと軽いもので打ち合っているはずなのに2倍3倍と重さを感じる。お前はそれができていない。だからここで吸収しろ。全てを出しきれ経験を生かせ。」

受けはどうする。とにかく癖を覚えろ。右利きだ利き手で言えば左利きのこちらが有利だ。ただ、それは実力が拮抗していたらの話だ。取り敢えず流してみるか、それかもうカウンター狙いにするか。答えは否。攻める。とにかく攻める反撃のタイミングを与えるな防御に回らせろ。

「なるほど作戦は悪くない。ただ詰めが甘いのと技量が伴いきってない。だからここでチェックメイトだね。」

トンと首もとを軽く叩かれる

「テンコの勝ち。ただ俺から見ればもう十分鎌術にいってもいいと思うが。」

「確かにあとの課題は鎌術で補えるし直すことも容易いものばかりだ。じゃあ今日はここまで。今日の反省を生かした明日を待ってるぜ。」

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「血气を集いし神帝よ。」

そう言うとタマモの体から魑魅魍魎のような見た目をしたものが出てきた。

「何のようで。」

「君に今日の反省をしてほしいと思って。」

「なぜ私が。あなたがすれば良いじゃないですか。」

「なんだと。お前主人に歯向かうのか。」

「わかりましたよ。今回の負けはあの静風幻狐流の精度の差だろうな。あれはタマモのそれとは圧倒的に精度や倍率が違う。タマモは何時なんどきでも1.1倍と1.3倍の間に位置するが、テンコと呼ばれるものはかなり甘く見積もって2倍から2.5倍はあると思う。その精度、剣の腕前以外に受けきれないと判断、つまりタマモの剣のなかで腰の入ったものは避けてカウンターや流していた判断力と洞察力や刀がどこにあるかの空間把握能力の差もあるだろう。」

「ありがとう。次は気を付ける。明日からは剣と鎌だね。」

「それよりこんなところで私を出してよかったのか。普通に警報なりそうだが。私のエネルギーは魑魅魍魎とほぼ等質だからね。」

「確かに、早急に閉じさせてもらうよ。」

そう言うと影のような九本の尾をもったものはタマモの中に入った。それからタマモは夕飯にして床についた。

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