初めての戦闘

「こちらシンコ、レベルオーバー100交戦中増援として、部隊ナンバー01を要請する。」

「了解」

「いつも通りの順番で捕獲無力化をする。その後コアを探すためにライフル二人で乱射する。そしたら多分突きのほうがこいつには効果的だからレイピアと槍二人でコアの近くと思われる場所を突いてくれ。」

「了解」

刺股と契木で拘束していく。再生の隙が無いように斬撃や打撃を浴びせ続ける。

「コアが見つかりました。人間の心臓部から脳の部分です。」

「了解」

「入ります」

そうして何度も止まることなく突きを続けた。

「コアにヒビが入りました。」

「了解、じゃあいつも通り対物ライフルを霧散するまで俺たちは斬撃を浴びせ続けろ。」

そうして数十秒が経った。少しずつヒビが大きくなる。そうしてヒビは全体に広がりコアは割れた。

「こちら部隊ナンバー01隊長キュウキ、レベルオーバー100交戦終了。ただいまより全部隊帰還体制に入ります。」

「全部隊集合、ただいまより点呼、応急処置を行う。」

「了解」

「報告、部隊ナンバー01、05、09、10、23、26全員重体、重症ともになし。」

「了解、軽傷者の中で足にけがしたものは応急手当をして機動力を落とすな。あと10分でバスが来るそれまで本個体、副個体、余個体の散布エネルギーを取り除き連鎖的レベルアップを防げ。ここならばもう一度レベルオーバー100が出てくる可能性が十分にある。これからエネルギーを限りなくゼロに近づける、すべてのエネルギーを消費してレベル1を作る薬品をまく。こいつはレベル1にはエネルギー散布が無いからな。」

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「エネルギー消費薬散布終わりました。レベル1個体も殲滅完了です。」

「了解ちょうど移動用バスも来たようだ。これから帰還する。」

バスに全員が乗り込んだ後

「隊長お疲れ様でした。」

「ああ。お前だいぶ成長したな。今度はレベル80に時間稼ぎを10分程度なんて3週間ちょっとのやつができることじゃないぞ。」

「ありがとうございます。テンコ隊員の剣術を見たことでだいぶ重心を安定させることができました。走り方も変えることで体力も戦闘まで持たせることができました。」

帰ってきたら就寝時間をとっくに過ぎていた。当たり前のことなんだろうけど。今回のことで分かった憧れや免罪としてこのマズテュールズに入ってきたら生半可な覚悟しかできず散っていくのだろうと思った。審査の時に自分の隣にいた人のように強さを求めるために入った人のほうが生き残る可能性は高いのではないかとおもい、恐ろしくも感じた。悩みもあったが疲れもあってすぐに眠りについた。

______________________________________

「何だ、テンコか。」

「隊長あいつほんとに大丈夫なんですかね。一人で走りだしたりとかしないですかね。」

「彼は死なないよ多分。」

「彼って妹なんですがねあいつは特に何も気にしませんよ。過去もそうだったし。まあランキング1位と3位と同じ剣術を扱うやつなんで大丈夫だと思うんですが」

「えっ、とにかく腕前の話だけじゃないよ、とりあえずあの目は覚悟の決まった目をしていた。俺がとにかく平和に向かって努力していたこの隊を作った時の目に似ていたんだ。だからここまでの成長は期待していなかったが。期待以上の成長を見せた。」

「あいつは昔から天才の部類だったんです。特技はコピーで5回以上見た技をコピーして使うことができた。ただその分練度はめちゃくちゃですし、技が軽くてしかも使い手が一番回避方法なんてわかってるのにどうしても使い手相手に使っちゃうのがあいつの天才の苦悩みたいなもんでした。」

「そうだったのか。お前はどうだったんだ。」

「俺ですか。俺は完全努力型の人間です。何十回何百回と練習して磨いて敗北も経験して、無力感を感じてそれでさらに成長するため努力してそれを何年も極めて言ってそんな人間です。」

「そうだったのか。俺はだな。」

「隊長の話はもういいです。何回も聞かされましたし、それに長いんですよほんとに勘弁してください。」

「わかったじゃあ今日はもう休め。」

「はいお疲れさまでした」

この次の日から何事もなく強化訓練は始まった。これが地獄になることを僕はまだ知らなかった。

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宙戦を描く 桜最中 @arekutoru

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