第4話ー2.5 ハナコの追跡
まだ辺りの喧騒が残る夕方の路地――。
そこに女神官は佇んでいた。何かを待つように。
「……貴方は、どなたです?」
「――さすがニン者の里始まって以来の天才女ニン者、クロエだな」
「あら……わたくしの事をご存知という事は、」
「早まるな。アタシは
ハナコは、クロエと呼んだ女神官の前に降り立つ。
「あらあら。その声はハナコちゃんじゃない。里の外、しかも外国で会うなんて奇遇ねぇ」
「本当に偶然だから探らないでくれ。アタシも里を抜けて来たんだ」
「あら。でもそんな事したら、
「白々しい。お前が真っ先に仲間引き連れて里を抜けて……追っ手全員を皆殺しにしたんじゃないか」
「――そんな事もありましたっけ」
2人の間に妙な間が生じる。
「まぁ、そのおかげで里は出る者を追わずって方針になったし、そこは助かったけど……」
「ふふっ。外は里の中と比べて色々刺激的でしょ? いっぱい、楽しんでいってね――」
「待て。この国の神官の格好をして何を考えている。まさか人殺しを悔やんでるとか、そんなんじゃないだろ……お前は」
「ハナコちゃん?」
ハナコは瞬き1つせずクロエと向き合っていたはずなのに、気付けばクロエ背後に周り――首にクナイを突き付けていた。
「……分かった、詮索はしない」
「いい子ね。じゃあ、ディアト神の御導きのままに……」
クロエが完全にその場から居なくなるまで、ハナコは微動だ出来なかった。
直に硬直が解けると、その場に崩れ落ち――。
「……おしっこチビった」
とだけ呟き、へたり込んだのだった。
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