第3話ー8.5 ルビィの夢
温かく、優しく。
小さい頃、父ちゃんや母ちゃんに抱き締められていた頃の記憶のような――。
しかしその感触は思い出ではなく、現実である事が分かった。
『ルビィ、起きたか』
「ヨーイチ君……?」
よく見ると自分の身体に触手が巻き付いていて、それでいて不快に感じる事がなかった。
「やん。ちょっとくすぐったい」
『す、すぐに慣れるよ。それより聞いてくれ――ここから出る作戦だ』
「……ヨーイチ君は夢とかあるん?」
『ゆ、夢? 今はそれより……』
「あのニン者と世間話してたんやから、ちょっとくらいしてもええやん」
『まぁちょっとなら』
「……ウチは世界で1番の鍛冶師になる事が夢や。将来は父ちゃんの工房で働いて、他の仕事仲間に認められて――」
『立派な夢じゃん』
「ちゃうんや。そこのニン者みたいに外の世界に出ようともせず、みんなにチヤホヤされて、ええ気分になって……こんな大物の化物と戦ったこともないんよ?」
『多分殆どの人は無いんじゃ』
「だからウチも冒険者みたいに自由に、父ちゃんの見た事もない魔物を狩って、見た事も無い武器を創って、ウチも宮廷鍛冶師……いや世界一の鍛冶師に――なるッ!!」
『ルビィ……その言葉を待っていた!』
その瞬間、ウチの身体の奥から熱い何かが溢れてくる。
これはウチの魔力のやない――ヨーイチ君の魔力。
2つの魔力と、身体と、魂さえも1つになる気がした。
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