第9話
「3日後って10月12日だよね?両親が結婚した日だよ。どういうことなの?」
「つまり隼士さんは寧音さんとの離婚届を役所に出したあと、愛茉さんとの婚姻届をすぐに役所に出した。ということじゃないですか?あなたのお母さんの名前は愛茉さん。寧音さんの実の妹です。まさか自分の妹が夫と不倫していて妊娠しているとは誰も予想しなかったと思う。そのときお腹にいたのが大金茉白さん、あなたです」
「パパとえっちゃんはかいくんとあ―ちゃんだけじゃなくママを二回も殺そうとした。でももう殺させないよ。おじちゃんとかいくんでこれからはママを守るんだから」
海人くんを通じてこどもの声がハッキリと聞こえきた。もしかしてこれが海人の声なの?乾ききった大地を潤す雨のように私の心をあたたかく包み込んでいった。
「ありがとう海人。あなたのことを全部忘れたママをどうか許して。ごめんね」
堰を切ったかのように涙が次から次に溢れてて止まらなくなってしまった。
「そんなまさか……」
すべてを悟った大金さんが膝から崩れ落ちるようにその場に力なく倒れ込んだ。
「茉白さん、隼士さんと愛茉さんに伝えてください。1%でも良心の呵責が残っているなら今からでも遅くない。警察に洗いざらい話してください。私利私欲のために小さな子どもをふたりも手にかけ、何気ない日常を過ごしていた寧音さんから幸せを奪い取ったのだから。人を騙し奪い取った幸せほど儚いものはない。僕はそう思います。寧音さん、航大さんが首を長くして待っているよ。行こう」
海人くんがハンカチで涙を拭ってくれて、手をぎゅっと力強く握ってくれた。
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