第4話

翌週私は海人くんにどうしても会わせたい人がいると頼まれてエブリスタウン駅に降り立った。

駅から海岸まで歩いて10分ほどだ。心地いい潮風を頬に受けながら歩いていくと、

「海さん」

私の姿を見付けた海人くんが手を振りながら走って来た。彼の後ろにいた黒縁の眼鏡を掛けた男性の顔を見た瞬間私ははっとし息を飲んだ。

「あの時はとんだ早とちりをしてしまいすみませんでした」

「いえ、私のほうこそ誤解を招くようなことをして、逆に迷惑をかけてしまいすみません」

下げられるところまで頭を下げた。

「なんだふたりは知り合いだったの?」

「ちょうど1年前かな?ダム湖の橋の上でちょっとな。気になって一時間後に戻ってきたら彼女がまだ立っていて。雪が降るなか、夕方、誰もいないダム湖でだぞ。考えられるのは自殺以外なかった。僕の名前は半谷航大です」

「これも何かの縁だし、海さんとお付き合いしたら?」

「あのな、大人をからかうんじゃ……」

「からかってないよ。じゃあ聞くけど、あのときの女性、大丈夫かな?元気でやっているかな。また、死のうとしているんじゃないか。かなり痩せていたからちゃんとご飯を食べているだろうか。いつも心配していたじゃん」

「そ、それは、その……」

顔を真っ赤にして口ごもる航大さん。


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