第3話
「海人、そんなにいっぺんに言われたら海さんが混乱するわよ。順を追って分かりやすく説明してあげないと」
私と同い年くらいの男女が男の子のあとを追い掛けて来た。
「風邪をひいたら大変よ」
手に持っていた膝掛を肩に羽織らせてくれた。
「ありがとうございます」
こんなふうに優しくしてもらったのいつくらい振りだろう。
「あ、あの……、失礼ですがどちら様ですか?」
「申し遅れました。そこにいる海人の母親の
「父親の
「海さんやっと会えたわ。ずっとあなたを探していたのよ」
「私を……ですか?」
「えぇ、そうよ。にわかには信じられないけど海人は前世の記憶を持って生まれて来たの。前世で僕が死んだのは自分のせいだってママが苦しんでいるからその苦しみからすぐに解放させてあげたい。そして僕がなぜ死んだかママに会って真実を伝えたい。息子の夢を叶えるために四方八方手を尽くしてあなたを探したのよ。手がかりすら見付からなかった。奇跡が起きる町、エブリスタウンに住んでいればもしかしたらあなたに会えるかも知れないと息子に言われてね。移住してきたの。まさかこんなに早く会えるなんて。すごく嬉しいわ」
ぎゅっと抱き締められた。そのとき、わぁ~~と歓声があがった。
「海さん見て!」
男性に言われ顔を上げると、海が一瞬だけ七色に光った。噂はほんとうだったんだ。感動のあまり声も出なかった。涙が一筋頬を伝いそして静かに溢れ落ちた。
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