第27話 独り言

"イチャイチャ見せちゃおう作戦"


それは俺たち、非リア充撲滅委員がおこなう作戦の1つだ。



非リア充撲滅委員会は日々、"一般人"に対して、恋愛というある意味や意義、習性を

非常に身近なものにすることを目的としている。



テクノロジーの進化が私たちの社会を変えているのは言わずもがなである。

入場ゲートなどにもこういったテクノロジーが使われていて、

これをみて喜ぶ、未就学児は多いはずだ。



しかしこの進化はいい側面だけを持っているわけではない。

これらは社会だけでなく、個人、脳や思考をも変え得るのだ。


身近な小さな携帯端末で無限に時間を消費することができる。

一つのプラットフォームでは一つのコンテンツが再生されると、

やれ協調フィルタリングだのなんだので

自分の趣味嗜好に合っているだろうコンテンツをサジェストされるのだ。


このような生活は短期的に快楽を得ることを慣れさせてしまう。

こうなると、まずい。


わざわざ声をかける気力や一緒に時間を過ごそうという気力が起きなくなるのだ。



俺はこれを非常にもったいないと思っている。

この体は当然、俺に父親と母親という個体がいてそれぞれ、まあ概ね他人を愛するというプロセスを経て紡いできた命だ。


この数年の進化が俺たちの歴史何十万も続けて来た行動に勝てるとは思えない。

誰かと触れ合い、それまでにかかった努力は簡単に手に入れられる快楽に勝るのだ。

そういう思想をこの組織にはたたき付けられたと思う。

もうこれが俺のなかでの意見となってしまった。

水無月は、機械に強いからテクノロジーの肯定的な側面のみを取り入れる良い方法を知っているかもしれないが...



つまりだ、ずいぶんと話がずれてしまったが

あまり気力が無い人に取って誰かが仲良くしていることを見せつけるのは

効果的なのだ。

実際に"イチャイチャ見せちゃおう作戦"という名前ではない。

正式名称は親密情景顕現計画法というのだが

基本あれで通じる。


二人の表情がコロッと変わったのがいい証拠だ。

このイチャイチャを見た時、見た人はそれに対して何かしらの感情が動く。それは羨望だったり、嫉妬だったり、その人の気持ちを映し出すのだ。

これがその人に影響を与える。

周囲の環境によって自分が影響されてる度合いは想像以上に大きい

これは気軽に行えることからよく重宝される。



というわけで修也君と豊浦さんはバイキングエリアの


キャプテン・ブラックベアードの隠れ家


という有名な海賊キャプテン・ブラックベアードの秘密の隠れ家を盗賊に見つからないように探検するアトラクションの行列に並んだ。


なかなかの行列で最後尾からは30分もかかる。

この、それなりの時間で彼らがどう貢献するか楽しみであった。

当然、俺と結花は恋人のはずなのだが、"私見てる"と誘いを断られてしまった。


仕方なく、二人を見ることができるベンチに座って

フローズン・ラズベリーレモネードでも二人で飲みながら、

様子を観察することに決めた。

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