第26話 決戦の地

「よし、 とりあえず今日は実践だけど気を張らず、

                     時間もあるからゆっくりやってこう」


あいさつ代わりにできるだけ爽やかに努めて4人分のチケットを買いに

券売機へ向かった。


彼女は今日、将来の道が分かれる重要な日を迎えているのだ。

むしろ俺たちに媚びずに自分を曲げないことは一つの良い点だと言えよう。


自分を言い聞かせるように1万円札を2枚と千円札を4枚入れ、中高生×4として入園できる権利を購入した。


もちろん俺は、ほかは分からないが一般的な中高生の年齢を超えている人間でも

ブルースターに所属するのであれば、その任務に合わせた人物像として行動してよいことから中高生用の券を買った。

もちろん国の機関であることから領収書を取り、書類を書いて提出する必要はある。


ようこそ♪ ヒストリックアドベンチャーへ 

オリンピックのキャラクターのような音声が

チケットをコードリーダーにかざすと流れた。

デジタルが進むな...


ここは夢の国ではないし、

ヒストリックアドベンチャーとして過去のことを扱う。

過去は主観的バイアスが強く働くし、

いいイメージを持てないとおもうかもしれない。

俺もそう思った。


しかしそれを上手くこのテーマパークはついている。

実際にあった出来事を倫理的問題にならないようにできるだけエンターテイメント性をもりこんだつくりになっている。過去は非現実だとも考えられるし、歴史の点数が上がったのなんだの、のコメントがSNSで流れてきたのを思い出した。


言い忘れたが当然このテーマパークのキャラクターも当然架空だ。



俺たちは入園後まず、園内をぐるっと時計回りに一周して、環境を把握する。

開園してからまだ1時間経ってないというのに相変わらずの盛況ぶりだった。

観察するポイントは大きく分けて二つ。

各アトラクションにかかる時間とそこに集まる客の特徴だ。


このさっきも言ったが

テーマパークのアトラクションは世界中の現代までの重要な出来事が

舞台になっている。

様々な国で色々なことがあった。

したがってアトラクションには好みが分かれたりするのだ。

今日は中世ヨーロッパエリアとバイキングエリアがそれなりに盛況である。

前に来たときは古代ローマエリアが一番混んでいたのだが...

今は改修工事とのことだ。



俺と修也君が隣に、その後ろを結花と豊浦さんがついてくる感じで進む。


どう、緊張すんの?


はい!でも大丈夫です。自分ならいけます。


修也君は非常に頼もしい。

ここで合格を出しすことは彼らを世に送り出せるという太鼓判を押すことと同じだ。

非常に責任があることで贔屓などは絶対できない。

だが、心が痛まないわけではないのだ。できるなら彼らの素晴らしい活動を

もっと広めていって欲しいとおもう。

彼の自信は俺たちにとっても助けになるものだった。


結局俺たちはバイキングエリアに行くことにした。

このエリアは戦士たちが集う宴会をモチーフにしていて

海賊団のコスプレをした人たちが歩き回っている。

アトラクションはボートに乗って、洞窟のような場所を探検することできるものだ。また音楽やダンス、豪華な食事を楽しむ場所も多く、客もオープンな人が

多い印象だ。



ここで俺たちはまず彼らに王道の

"イチャイチャ見せちゃおう作戦" をやってもらうことにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る