第23話 伝統
午前10時、県内有数のテーマパーク ヒストリックアドベンチャーの
最寄り駅で彼女を待った。
休日ともあってか駅にはいくつものグループが待ち合わせていた。
土曜日なのに制服で遊びに来る客だっている。
制服○○と言って高校卒業後も制服を来てテーマパークに来る人だっているだろう。○○は大体行く場所だったり、やることが入ったりするのだが、
俺たちの場合だとその○○に学校が入ることになるのかもしれない。
しかしそれが学校なら制服を着て当たり前なんじゃないか.....と、
自分で立てた問いに対して、また言葉という文化に対して特になんの役にも立つ気がしない問題を考えていた。
今日はよろしくお願いします。と大きな声が聞こえた。
朝の挨拶、多くの人が年齢を重ねるうえでやることは憚っている。
朝から元気いいな、そう思いながら声のする方向へ視線を変えると
その声の発生者と思われる人物は俺に向かって頭を下げていた。
周りから俺についての憶測があーとかどーとか聞こえてきそうだ。
相手が誰かを確認するためにあのー...とだけ言って相手を待った。
その地面と平衡になった上半身をサッと戻す。
背が高く、俺に爽やかな笑顔を振り向ける。
今日の主役だ。
修也君ね、よろしくお願いします。
遥です。そう軽めに挨拶をした後、水無月が来てるかどうかだけを確認する。
まだ...か よし 今日は頑張って見よう
はい 指導いただけること本当に感謝しております。
彼の少し焼けた肌と爽やかな笑顔が彼の潔さを感じさせる。
しっかりと筋肉がついている肉体は当然服越しからもその存在感を周囲に示す。
名前は修也君、非リア充撲滅委員会の初の実践任務とのこと。
一週間前に指揮官にプロジェクトの状況を報告した際に面倒な
仕事を頼まれてしまった。成績上位の人間には教育課程段階の卵を
教育することが慣例となっている。俺もこの立場を経験したことがある。
師匠にはお世話になったものだ。こういうイベントはあることは知っていたが
詳しいことは分からず、いつ担当になるかもわからない。
水無月はもうすでに何人かの面倒を見てきてかもしれないな。
そんな中、いつもよりもほんのりと頬を染めた彼女が俺たちの前に現れた。
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